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株式市場急落で、金融市場はパニックです。FRBも緊急利下げを実施しましたが、効果が出るにはまだまだ時間がかかりそうです。
金融市場はパニック状況
皆様いかがお過ごしでしょうか?金融市場は完全にパニック状況です。筆者の周りの金融マン/ウーマンを見ると、多くの方の表情がボロボロになっています。いうまでもなく株式市場の急落が原因です。1月22日(水)時点の年初来騰落率を見ると、日経平均株価が18%ほど下がっているのはもとより、香港のハンセン指数は21%、欧州株もだいたい15%程度、米国株も10%ほど下げています。
今回の動きがパニック的になっているのは、これだけ株式市場が下げている理由がはっきりしないためです。昨年の8月や11月の下げ相場は主に「信用不安」が主因で、「どこかの金融機関が危機的状況になっている」というニュースが出ると下げ、「金融緩和が始まった」とか「中東やアジアの政府系ファンドが金融機関に出資する」というニュースが出ると回復する、という非常に分かりやすい流れになっていました。
これに対して今回の下げは、とくにどこかの金融機関がおかしくなっているというニュースが出ているわけではなく、むしろ信用不安については相当に落ち着きを見せているというデータが実は出ています。それにもかかわらず、ここまで急落しているというのは市場参加者にとっては理由が分からないという非常に恐ろしい状況で、これが「売りが売りを呼ぶようなパニック」を引き起こしたモノと思われます。
純粋に景気に対する不安が下げの主因か?
そもそもの急落が始まった引き金についてはいまだはっきりしませんが、筆者はおそらく純粋な「景気に対する不安」が主因だと考えています。
昨年後半の動きを振り返ると、まず夏ごろからサブ・プライム問題による信用不安が発生し、金融市場が混乱、景況感が悪化し始め、次に11月頃から大手金融機関が巨額損失に見舞われていることが明らかとなり、今後の貸出態度が厳しくなることが予想されるようになり、12月の終わり頃、実際に消費や雇用にそうした影響が徐々に現れるようになってきたという流れです。
従って、おそらく「住宅市場が崩れても経済全体には大きな影響はない」という希望を抱いていた人々が、ついに「やはり景気にも影響が相当にある」と見方を変えざるを得なくなったことが、今回の動きの最大の原因だと筆者は考えています。
FRB緊急利下げ!!
こうした中、1月22日(火)、米FRBが緊急に0.75%という大幅な利下げを実施するというニュースが飛び込みました。これは率直に言ってかなり強力な政策です。まずFRBが一気に0.75%以上金利を引き下げるのは、1984年10月以来23年ぶりのことです。また、定例のFOMC会議以外で緊急利下げを行うのも2001年のITバブル崩壊直後以来です。政策の規模としては過去に例を見ないほどのものといえます。
ただ、この政策が実際にどの程度機能するかどうかは今のところはなんともいえません。債券市場では緊急利下げ後、すぐに来週30日(水)の定例のFOMCで0.5%の追加利下げがあることを織り込んでしまいました。つまり、今回の緊急利下げだけでは経済を立て直すにはまったく不十分で、もう0.5%すぐに利下げしなければダメだというわけです。同時に、来年の今頃には政策金利は2.0%とかなり低いところまで下がっているという、今後の利下げ継続についてもすぐに織り込んでしまいました。
繰り返しますが、市場はパニックの真っ最中です。本当にこれだけの利下げが今後行われるかどうかはもちろん定かではありませんし、これだけの利上げが必要なほど経済状況が悪いのかも定かではありません。ただ、市場参加者が「こうした大規模な利下げがないと経済がもたないほど状況は悪化している」と、足元で考えていることだけは間違いないところで、今後はそうした見方が悲観的過ぎるのか、それとも十分に悪い状況を織り込んだのか、そこが焦点となるでしょう。
政策効果の見極めにはかなり長い時間が必要
残念ながら、経済政策の効果はすぐには発揮されません。景気に実際に効果がでるのは大体9〜12ヶ月ほどかかりますから、市場参加者がそうした予想をもてるようになるのにもまだ数ヶ月はかかるでしょう。それまでは見極めの時間が必要です。
筆者は現在のパニック状況を考えると、今後しばらくは参加者の見方が割れ、市場が乱高下したり、あるいは、ほとんど動かなくなったり、そうした展開となる可能性が高いと思います。
為替市場については、筆者は「あまり動かなくなる」という可能性が高いのではないかと思います。ドル、円、ユーロをそれぞれ見ると、どの通貨も弱点を抱えており、ひとつの通貨がどんどん上昇するような状況ではないからです。
ただその中で、ユーロに対する円安、また、対円に比べればそれほどではないかもしれませんがユーロに対する米ドル安も、現時点で行き過ぎている可能性が高いです。今後しばらく『見極めの時間』が続く中、為替市場では引き続き『リスク回避的な動き』が続き、キャリー・トレードの縮小から円高が粛々と継続。中でも、ここ数年好調であったユーロや豪ドルといった通貨に対する円高が『だらだら』とした感じで続く・・・そんな感じで筆者はイメージしています。
グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿