2008. 2.10
まもなく開催、重要な東京G7のテーマを占う

 2008. 2. 4
混乱状態の金融市場、円安復活は当分望み薄?

 2008. 1.28
大統領選の予想が為替市場に与える影響は?

 2008. 1.25
株式は既に安値圏、でも上昇しにくいのはナゼ

 2008. 1.24
年末年始のマーケット「大荒れ」の本当の理由

 2008. 1.11

 2008. 1. 4
2008年金融市場の焦点は「中国バブル」?

 2007.12.25
注目は欧と日、まもなく日銀政策決定会合です

 2007.12.17
今後の利下げは米ドル安要因にはならず?

 2007.12.10
急激な円高が日本に与える影響、どう予測する

 2007.12.10
今後の株式市場、最大のポイントは大幅利下げ

 2007.12. 5
日本の貿易黒字が原因で円高はまだ続く?

 2007.11.27
米国経済への悲観から株安?影響を見極めて

 2007.11.19
対米ドルで続く円安、そろそろ深追いは危険?

 2007.11. 9
株式は「上がりにくく下がりやすい」展開か

 2007.11. 5
10月末のFOMC、追加利下げはあるのか?














2008年為替市場、
買ってはいけないのは?


「サブ・プライム問題」で大パニックを起こした2007円の金融市場でしたが、来年はどんな年になるのでしょうか?






2007年は「米住宅バブルがはじけた年」
 今年も残すところ僅かですが皆様の投資成果はいかほどでしたでしょうか?2007年の株式市場は日本株が約10%の下落であったのに対し、米国株が5〜10%程度の上昇、香港株が約40%の上昇、中国の上海B株に至っては180%の上昇と、非常に明暗の分かれる年となりました。
 
 また通貨市場では米ドルが対円で4%程度の下落(円高)、英ポンドも3%程度の下落だったのに対し、加ドルが約13%の上昇(円安)となった他、豪ドルも約6%、ユーロも約5%の上昇と、こちらも明暗が分かれました。

2007年の「3つの出来事」
 1月から年末までの動きを振り返ってみると、大きな出来事が3回あったと総括されます。まず2月に「世界同時株安」が起きました。これは、当時は「中国市場の下落が発信源」と報道されましたが、今振り返ってみると「サブ・プライム問題」のはしりだったと位置づけた方が妥当なようです。米国でサブ・プライム住宅ローンを専業で行っていた大手金融機関が破綻の危機にあることが発覚し、それによって世界中で「リスク回避」が高まった・・・2006年春頃から目立っていた米住宅市場減速の影響がついに表面化したのがこの時です。これが今年最初の大きな動きでした。

 その後、住宅関連以外の米国の景気指標が改善を示したことから、すぐに世界の金融市場は楽観を取り戻し、6月にかけて株式市場も金利も高騰しましたが、今振り返れば、この「金利上昇」が決定打だったと思われます。大きなパニックが起きました。金利上昇により米国の住宅市場はさらにいっそう冷え込み、サブ・プライム関連の証券化商品に投資を行っていたヘッジ・ファンドが続々と破綻し始め、それを救済するために大手金融機関が多額の資金を提供しなければ行けない事態に陥りました。8月には米国だけではなく欧州の金融機関が多額の投資を行ったために破綻の危機にあることが分かり、欧州中央銀行(ECB)が突然の大量資金供給を行い、これが世界的な金融パニックを引き起こしました。

 このパニックは世界の金融市場を大きく揺り動かしましたが、その後米FRB(連邦準備制度理事会)が利下げを実行、ECB、日銀も確実視されていた利上げを見送る等して「金融緩和」による支援を行った結果、市場は10月にかけて落ち着きを取り戻しました。その後、今年最後の大きな動きがおきます。シティ・グループやモルガン・スタンレー、UBSといった世界を代表する巨大金融機関がサブ・プライム関連で数兆円単位の損失を出していることが明らかとなり、大きな信用不安が生まれました。これはサブ・プライム関連の証券化商品を「在庫」として抱えていた分の「評価損」が原因でした。これらの損失を埋め合わせるために、これまでは「グローバル金融市場の新たな危険な火種」と恐れられていた中東や中国系の政府系ファンドからの出資を仰ぐこととなり、国際金融市場はこれまでになかった新しい時代に入りつつある、そんな状況で新年を迎えます。

全ては「米住宅バブル崩壊」が原因
 以上のように2007年は3つの大きな出来事がありましたが、その根っこにあるのはいずれも「米住宅バブルの崩壊」です。米国の住宅市場は2000年のITバブル崩壊以降、当時のグリーンスパンFRB議長が景気下支えのために行った超低金利政策の結果起こったものですが、この調整がついにそれから6年後にやってきたという構造です。超低金利政策も今は昔、政策金利は1.0%から5.25%に引き上げられ、景気循環もピークを過ぎ始めました。これが最終的には「中東や中国」という米国や西側諸国にとって「敵」ともいえるような国々から資本を提供してもらわないと金融システムが潰れてしまうかもしれないという歴史的にも重大な信用不安に発展したのが2007年です。

2008年は米国から欧州、アジアへの波及がテーマか?
 さて、こうした流れを踏まえて来年2008年の金融市場がどう動くのかを予測してみます。筆者は、2008年は今年見られた「米国経済のピークアウト」が「世界経済全体のピークアウト」に発展する年になる可能性が高いと見ています。

 まず、もうしばらくすれば欧州経済に相当の減速感が出てくると考えられます。既に英国でも不動産市場が冷え込み始めている他、スペインやアイルランド等、ユーロ参加国でも不動産市場が大変なことになり始めています。ユーロ圏の利上げは2005年の冬からと、米国が利上げを2004年夏から利上げを開始したのに対し、1年半遅れて始まっていますので、景気サイクルも単純に考えれば1年半遅れている可能性が高いと考えられます。そろそろ、欧州の景気も冷え込み始める頃です。

 また、今年絶好調だった中国市場も気になるところです。2008年は北京五輪が開催されますが、つい数年前までは「中国経済が北京五輪まで高成長を維持できるかどうか」が中国を巡る議論の中心でした。それがいまや「中国は10%以上の成長をして当たり前」という雰囲気です。仮に中国経済が崩れたら、世界経済全体は想像以上の冷え込みを2008年見せることは確実です。中国経済は米国や欧州への輸出依存度が実は物凄く大きい経済です。中国人の購買力にそこまでの規模はまだありません。欧米の減速は予想以上に中国経済に影響を与える可能性はあります。

 そう考えると2008年の為替相場は、実は「米ドル高」なのではないかとも思えてきます。米ドルは既に悪材料が出尽くしており、これ以上さがらないところで既に下がっているかもしれません。とりあえずは、景気減速の可能性が極めて高い英国、ユーロ圏の通貨は当分の間「買ってはいけない」のではないでしょうか。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿