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急激な円高が日本に与える影響、
どう予測する
最近の為替相場は「円キャリー取引」が大きなキーワードとなっており、「円キャリー取引」なくして為替相場は語れません。「円キャリー取引」は「円借り取引」「円キャリートレード」とも言います。
「円キャリー取引」って何?
「円キャリー取引」の「キャリー」って何でしょうか?キャリーは通常、「持ち運ぶ」という意味です。持ち運びをするケースのことを、「キャリングケース」と呼んだりしますよね。投資の世界、特に為替の分野で「キャリー(キャリング)」は「ポジションをとる」「投資をしている」ということを言います。ですから、円キャリー取引とは、円を借りて外国資産(外貨など)に投資をすることを言うのです。
なぜ「円キャリー取引」をするの?
では、シンプルな例でみてみましょう。日本の金利が1%とし、米国は5%だとしましょう。こんな時に、みなさんはどう投資しますか?
手持ちに日本円がある皆さんは、日本の預金だと1%の利息ですが、外貨預金をすることで5%の利息を得ることができます。要するに、利ざやを稼げるわけです。
しかし、手持ちに日本円を持っていない外国人投資家はどうするのでしょうか?外国人投資家は、日本で低金利の円を借りて、海外に“持ち運び”、海外の高金利な資産に投資してるんですね。
日本円は、歴史的に見ても、世界的に見ても超低金利なので、そこに目をつけた海外の投資家が、日本の円に殺到しているわけです。また、米国は2004年の夏から、ユーロも2005年12月から政策金利を引き上げ始めたが、それが円キャリー取引にさらに拍車をかけました。
FXの人気
それに加えて、ここ数年個人投資家にもその裾野を広げてきたFX(外国為替証拠金取引)も、一つの原因と言われています。
FXは、手持ちの証拠金の何倍もの規模のお金を取引することがほとんどです。では、手持ちのお金の何倍もの大きなお金はどこからでてくるのでしょうか?実は、手持ちの証拠金以外のお金は、円で借りて外貨に投資をしているのです。これも、実質的には円キャリー取引と同じですね。
本来であれば
本来であれば、円安になれば、輸出産業の多い日本の景気は良くなるため、時間が経つと、金利が高くなり、かつ円高になっていくのですが、日本の経済状況・米国との関係などから、日本の金利はまだ高くできないのが実情です。そうして続く低金利政策が、ますます円キャリー取引に拍車をかけるのです。それを横目に、世界の投資家は、日本から円を借り、円を売り、外国通貨への投資に向かっていったのです。
日本への大きな影響
今までは、この円キャリー取引は、「円を借りて→円を売り→外貨を買う」という流れを生むため、円安の原因となっていました。日本は製造立国で、輸出企業が多く、円安の方が経済に与える影響は良いため、日本政府も黙認していることも一つの理由です。
しかし、サブプライム問題が起きたことで、投資家達はその資金を手じまうために、今までと逆行して「外貨を売り→円を買い→円を返す」という流れになりました。そのため、急激な円高になったのです。
日本企業の株価
このまま円高が進むとどうなるのでしょうか?
日本の企業、特に輸出企業の業績には悪影響を与えます。その理由は、円高の状況下では、海外で日本の製品が売れなくなるからです。そして、海外で製品を売って手に入れたお金を日本で使うためには、外貨を円に換えなければいけませんが、円高だと損をします。特に、中小企業は大きな痛手を被るでしょう。
では、大手企業は、どうでしょうか?大手企業ともなると、円高に備えて為替予約をしています。為替予約とは、将来の急激な為替相場の変動に備えて、あらかじめ決められたレートで換金できるように予約をしておくことです。ですが、大手企業の為替予約も「半年先まで」と言う企業が多いようです。今後、半年以上も円高が続くとなると、日本を代表する大手企業にも大きな影響を与え、会社によっては海外戦略の見直しをはからなければいけない企業もでてくるでしょう。
また、大手企業の業績予想を見ると、その業績予想の前提となるレートが明記されています。
ここ数年の円安は、企業の予想よりも進んだために企業に大きな利益をもたらしましたが、逆に、今後は損失をもたらすかもしれません。
先日の銀行の決算で、サブプライムローンの影響が大きく報じられましたが、トヨタや任天堂、ソニーなど、日本を代表する輸出企業各社に対する本当の影響はこれからだと思います。
しばらくは静観するのが一番賢明かもしれません。
ファイナンシャルプランナー 小山 武仁