2007.12.10
今後の株式市場、最大のポイントは大幅利下げ

 2007.12. 5
日本の貿易黒字が原因で円高はまだ続く?

 2007.11.27
米国経済への悲観から株安?影響を見極めて

 2007.11.19
対米ドルで続く円安、そろそろ深追いは危険?

 2007.11. 9
株式は「上がりにくく下がりやすい」展開か

 2007.11. 5

 2007.10.29
米景気がさらに悪化したら?相場予測はいかに

 2007.10.22
「円安バブル」はFXブームが原因か?

 2007.10.15
今って実際のトコロ、円安なの?円高なの?

 2007.10.15
米国0.5%利下げでアジア株「爆騰」のワケ

 2007.10. 9
米ドル以外に対して円安という現状のフシギ

 2007.10. 2
米国のサプライズ、0.5%利下げの衝撃

 2007. 9.26
米ドル安再開、米国の大幅金融緩和はホント?

 2007. 9.18
サブ・プライム・パニック後の株式市場を占う

 2007. 9.10
サブ・プライム問題、中央銀行の巧みな対策

 2007. 9. 3
サブ・プライム問題は今後どう収束する?














10月末のFOMC、
追加利下げはあるのか?


先日開催されたG7では目新しい動きがない中、各国はその前後にどのような動きを見せたのでしょうか?また今後は10月末のFOMCに注目が集まっているようです。






G7「前」に大きく動いた市場
 10月19(金)、20日(土)両日、米ワシントンでG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)が開かれました。例年、この季節のG7は9月に開催されるのですが、今年はサブ・プライム問題にともなう大混乱があったためかどうかはさだかではありませんが、10月になって行われました。過去の歴史を振り返ってみると9月のG7では何か大きな方向転換が行われることも多く、例年であれば注目されることが多いのですが、今回の場合には既に8月、9月と各国の間で「政策協調」が見られていたことから、何か新しい話がでてくるとも思えず、筆者も当コラムでは一言もG7について言及しませんでした。

 しかしながらG7前後の動きを見ると、予想していた以上に相場が動いたという印象です。株安、円高、ドル高、金利低下と、スケールは当時と比べれば小さいものの、8月の「サブ・プライム・パニック」の時に見られた「リスク回避」の動きが繰り返されました。ただ、注意しなければならないのは、この動きのほとんどはG7「前」に起きていたということです。G7で何か新しい動きがあったから市場が大きく動いたわけではありません。むしろ別の思惑から大きく市場が動いたと考えた方が良いでしょう。

G7の評価は「現状追認」
 まずG7で何が話し合われたかを確認しましょう。今回のG7は、9月に米国が利下げを行い、欧州・日本が予定していた利上げを先延ばすという「政策協調」を行った後、今後の経済運営をどうやっていくかが話し合われたはずです(会議の内容は全てが公開されるわけではありませんので、あくまでも「はず」としか言えませんが、会議後の声明文や各国要人の談話を総合すると、まず間違いなくそうだった「はず」です)。

 その結論は「米国は今後景気がかなり減速することが予測されるが、世界経済全体は堅調になる可能性が高いので、日欧は引き続きインフレ警戒も続ける」という、いわば市場参加者のコンセンサス通りの「現状追認」でした。日銀の福井総裁は「日銀の、日本経済が物価安定の下で持続的に成長することから、金利の正常化に向けて徐々に金利を引き上げていける、というシナリオの蓋然性に確信を深めた」と言明し、改めて利上げへの意欲を示しています。

 従って、「パニック再発に近い市場の動き」とは裏腹に、G7各国はそれほど景気に対して弱気な見方をしているわけではないということが明らかになったともいえます。このことを見ても、最近の市場の動きは「G7によって引き起こされた」のではなく、何か別の思惑によるものだと思われます。

10月31日(水)米FOMC開催
 筆者がもっとも可能性が高いと考えているのは、来週31日(水)に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)で追加利下げを要求する動きです。8月から9月にかけての一連の「政策協調」によってパニックは収まり、株式市場はパニック前の水準を、日本等の一部の例外を除いて、回復しました。その政策の中で最も強力だったのは9月18日の「米FOMCによる0.5%の利下げ」です。

 先のコラム「米国のサプライズ、0.5%利下げの衝撃」でもお伝えしたとおり、この「0.5%」というのはポジティブ・サプライズでした。当時、市場では利下げは0.25%という見方が大勢で、0.5%という大幅な利下げをバーナンキ議長率いるFOMCが決定したのは、米当局が市場に予想以上に配慮しているというメッセージだと市場参加者は解釈しました。ただ一気に0.5%利下げを行い、それにより株式市場が完全に回復したことから、10月のFOMCでの利下げが今度は微妙になりました。それを要求する動きがG7前の株式急落、円高、ドル高だったというのが筆者の見方です。

 現時点の債券市場を見ると、10月31日に0.25%の利下げが行われることが確実視されています。株式市場は利下げを催促して下げていますので、仮に利下げがあれば再び上昇するでしょう。為替市場でも再び円安に動く可能性が高いです。

 問題は利下げがなかったときです。これを「米当局はそれほど景気の先行きを心配していない」と解釈されれば、それを好感して株高、円安に動くかもしれません。しかしながら「米当局は問題を軽視している」と受け取られれば、逆に株安、円高が進むかもしれません。その辺は今のところは筆者にはまったく不透明です。

 ただ、より長い目で見れば、米経済は今後一段と冷え込んでくる可能性が高いと思われます。おそらく、最終的には、利下げはかなり大幅に行われなければならなくなると思います。仮に今回利下げがなくても、数ヶ月後振り返れば「先月0.5%一気に下げたのでとりあえず一回様子を見た」という解釈されているかもしれません。

 従って、短期的にどう動くかは分かりませんが、いずれにしても「仮に米ドル高に動き、ユーロや豪ドル等が米ドル以上に円高に動けば、それはユーロや豪ドル等の通貨の買いのチャンス」になると思います。その際、円は若干円安に触れすぎている嫌いもありますので、「米ドル売り/円買い、豪ドル買い/円売り」の組み合わせで「豪ドル買い/米ドル売り」のポジションを作るなどして、円の動きに左右されないポジションを組むのも面白いかもしれません。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿