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米ドル安再開、
米国の大幅金融緩和はホント?


サブ・プライム問題に伴う「パニック」も収束を迎え、米ドル安再開の流れに向かっています。さて、本当に米国では大きな金融緩和が行われるのでしょうか。次の焦点は日米の金融政策決定会合!?






サブ・プライム・パニックは収束してきた模様
 サブ・プライム問題に伴う「パニック」は、各国中央銀行の迅速、適切な対応で収束に向かいつつあるように思えます。

8/9 欧州中央銀行(ECB)が無制限資金供給を実行
8/17米FRB(連邦準備制度理事会)が公定歩合引き下げを発表
8/23 日銀が利上げを見送り
9/6 ECB、英イングランド銀行(BOE)が利上げを見送り

 サブ・プライム問題に起因するパニックは幅広い「リスク回避」の動きにつながり、「株安・債券高・円高」が急速に進みました。円についてはこれまで「高金利」が好感され、特に上昇していた豪ドルやNZ(ニュージーランド)ドルといった通貨が最も大きな下落を見せ、結果としてこれまであまり上昇していなかった米ドルが上昇するという事態となりました。

 しかしながら、こうした中央銀行の対応により株安・円高には歯止めがかかり、一時進んでいた「米ドル高」も止まってきました。一時米ドルに対して下落していたユーロもここにきて値を戻し、対米ドルではサブ・プライム問題の激化が始まる以前の水準を回復し再び史上最高値を更新しています。

今後は「経済実態」を反映、米国の大幅な金融緩和織り込む
 筆者は、パニックにより進んでいた米ドル高はしばらくすればパニックの収束とともに止まり、「経済実態」に従って「米ドル安が再開する」と見ていました。今のところはそうした流れになっていると思います。急落していた豪ドルも対円ではともかく、対米ドルではだいぶ戻ってきました。対円ではまだ今年3月くらいの95円程度にとどまっていますが、対米ドルでは6月上旬の0.83台まで戻っています。

 これは、いずれにせよ、サブ・プライム問題というのは「米国の不動産市場」の問題なので、その影響をもっとも大きく受けるのは米国と見て間違いないという見方に基づく動きです。今後米国では住宅部門の低迷が個人消費等に影響を与え、景気が一段と冷え込み、大幅な金融緩和が必要になると思われます。それに対して、欧州や豪州は景気に勢いがあり、とくに豪州では経済のグローバル化・新興国の発展による「資源業界への投資」が今後ますます増え、米国の景気減速の影響を受けてもなお好調が維持できる可能性がかなり高いです。こうした状況で、米ドルがユーロや豪ドルに対して上昇していたのはやはり異常で、パニックの収束とともに米ドルが下落に転じてきたという極めて自然な流れが始まったと見るのが良いと思います。

9/18(火)9/19(水)の日米の金融政策決定会合が注目
 さて次の焦点は、本当に米国で大きな金融緩和が行われるのか、米国以外の国の景気と金融政策は米国経済減速の影響をどれだけ受けるのか、の見極めということになります。

 そうした意味で重要なのが来週日米で相次いで行われる金融政策の決定会合です。まず18日(火)には米FOMC(連邦公開市場委員会)が開催されます。先月公定歩合引き下げを決定したFRBですが、市場は既に政策金利を今後1年程度の間に現在の5.25%から4.0%程度にまで引き下げることを織り込んでいます。来週の会議についても0.25%の利下げ実施は確実、場合によっては0.5%の利下げもあると見られており、まずはここで実際にどのような政策が打たれるのか、また、FRBがどういう今後の経済見通しをもっているのか、そうした点が大きな注目を集めるでしょう。

 そしてその翌日の19日(水)には日本銀行の政策決定会合が行われます。すでに市場参加者は「今月も利上げ見送り」を100%織り込んでいます。おそらく実際の政策も利上げ見送りになるでしょうから、注目は、米国経済が減速感を強めていく中で、日本経済に対してどれほどの影響が出るのか、「金利の正常化」を進めようとしている日銀の中期的な考え方に変化があるのかという点になりそうです。

 さて筆者の個人的な予想ですが、おそらく日米ともにそれほど弱気な見通しを発表することはないと考えています。ことさら急に弱気になったような印象を与えると市場が悪い方向に暴走し再びパニックが発生することもありえますので、まずは市場の期待通りの行動を示すことになると思います。ただ、その言葉の端々に、本音ではどの程度の見通しを持っているかがにじみ出る可能性があります。そうした微細な言葉尻をとらえて市場が乱高下する可能性もあるでしょう。

 ただし、長い目で見れば、筆者は米国の金融政策は現在市場が織り込んでいる以上のものになる可能性が高いと見ています。日本も米国経済減速の影響を大きく受け、「金利の正常化」は相当先送りしないといけなくなるでしょう。このため、為替市場では今後も米ドル安が続く他、円についてもユーロ圏や豪州と比べて日本経済が非常に弱いということが明らかになるにつれ再び円安傾向になっていくものと予想しています。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿