2007. 9. 3
サブ・プライム問題は今後どう収束する?
2007. 8.31
緊急提言!米国サブプライム問題からの教訓
2007. 8.21
なぜ米国の住宅ローン問題で米国以外が大影響
2007. 8.10
「分からないことだらけ」で株式市場急落?
2007. 8. 6
住宅不動産問題で米ドル全面安はどこまで続く
2007. 7.30
2007. 7.24
為替市場に影響与えるサブ・プライム問題って
2007. 7.17
魅力的な新興国の高金利通貨はここに注意
2007. 7.13
世界の株式市場が冴えない原因はやっぱり・・
2007. 7. 9
個人投資家のFXブームで円安バブルの懸念
2007. 7. 2
金利の落ち着きでドル安、円安傾向が復活
2007. 6.29
「分散投資」と「ヘッジ」はどう違う?
2007. 6.26
債券市場は大波乱、株式・為替市場への影響は
2007. 6.15
世界的な株式上昇相場もいよいよ曲がり角?
2007. 6.11
米ドル反発の鈍さはやはり住宅市場の影響か
2007. 6. 4
米国経済好転の兆し、本格的ドル高に繋がるか
今って円安バブル?
弾けてみないとわからない
そろそろ過度な(?)円安の弊害が言われ始めました。もしかして今って円安バブル?今後の推移に注目です。
海外旅行に行く人は円安にご用心
この夏、ヨーロッパやアジアに旅行に行こうとお考えの人たちは大変だと思います。数年前と比べると、おそらくびっくりするほど物価が上がっていると感じられるはずです。しかしながら、実は物価が上がっているわけではありません。ガソリンや食料品以外の物価がそれほど上がっていないことは世界中共通です。
今、海外に行った時に値段が非常に高く感じられるのは、ほとんど全て「円安」が原因です。ユーロやポンドは数年前の30%増し、韓国ウォンやタイ・バーツは50%増しです。これは「インフレ」ではなく、「日本人が相対的に貧しくなっている」ことに他なりません。
筆者は昨年から「円安の行き過ぎ」、「円安の弊害」について当コラムで何度か述べています。昨年末には、2007年はそうした行き過ぎが水準訂正されるかもしれない、と「円高方向への調整」を予想もしていました。しかしながら今年前半の動きは、逆に円安がさらに急激に進む展開でした。
ようやく「円安の弊害」がメディアに取り上げられるように
ここ1ヶ月ほど、新聞や雑誌、インターネットのサイト等ではこの「円安の弊害」がようやく取り上げられるようになってきているように感じます。今までの論調といえば、日本は貿易黒字だから円安の方が景気によい、10円の円安で企業の利益はこれだけ増えるので株価はこれだけ上がるはず、とか、外債ファンドや外株ファンドは年率20%くらいの上昇は当たり前、といった「円安=素晴らしいこと」というものがほとんどでした。しかしながら、ここにきてようやく「海外に行くと物が恐ろしく高い」とか「駐在員が悲鳴を上げている」とか「魚を日本の商社が買い負ける」などといった記事を多く見かけるようになってきています。
これは世間の雰囲気が、「円安には自分たちにとってマイナスの影響もある」ということにようやく気づいてきたということだと思います。今までは、円キャリー・トレードが縮小したら円高だ、などといった「円安というのは素晴らしいもので、それをだれか得体の知れない人々が自分たちから奪ってしまうかもしれない」という論調で書かれているものが多かったように思えますが、「円安は日本人の購買力を弱体化させる」とか「インフレのモトになる」とかといったものがぼちぼち見られ始めています。筆者は、これは結構大きな変化なのではないかと考えています。
FXバブルが極まってきた?
同時に筆者が、「世間の雰囲気の変化」としてもうひとつ重要だと思っているのは、「FX」という言葉が相当に一般的になってきていると感じられることです。最近はいわゆるオヤジ系の週刊誌や若手サラリーマン系の週刊誌等にも、その仕組みが特集されるような例が見られます。
こうした例は株式市場がぐんぐん上昇した99年とか2005年にも見られましたが、こういう「普通の週刊誌」に特集が組まれるようになるというのは、かなり相場が加熱している可能性を感じさせます。インターネットのいわゆるクチコミ・サイトや質問を投稿できるサイトを見ても、「FX」に対する一般的な興味がここ数ヶ月間急速に広がっているのを感じます。
FXの実績は確かにここ数年間物凄いものがありましたので、その数字を見ると仕組みを詳しく知らない方々は「おお!」と驚かれるでしょう。レバレッジを10倍とっていれば、確かにニュージーランド・ドルを過去7年間ずっと買い持ちにしていた場合、投資資金の30倍近くに増えていたわけです。事実、この「実績」はウソではありません。
しかしながらどうしてこうなったかを週刊誌の記事をざっと読んだだけで理解できるとはとても思えません。「まあリスクがあると言ったって損はしないでしょ?なんたって30倍になるような代物なんだから」という具合に筆者に聞いてくる知人も多いので、ますます心配になります。
バブルかどうかは弾けてみないと分からないのがバブル・・・
こうした「状況証拠」から考えると、筆者は、円安はバブル化している可能性が高いと思います。ただ、バブルの厄介なところは、それが実際に弾けてみないとバブルかどうか分かりませんし、バブルがどこで弾けるのかも全く分からないところです。
筆者の経験から照らしてみると、まだバブルが弾けるところには少々遠いような気もします。週刊誌にはまだ取り上げられ始めたばかりですし、円安の弊害に対する理解も、若干まだ浸透が浅いような気がします。バブルは弾ける直前がもっとも加熱します。今後の推移がどうなるかは率直に言って不明ですが、警戒水域に入ってきたのは間違いないと思います。
グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿