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世界の株式市場が冴えない原因はやっぱり・・

ここにきて、世界の株式市場が頭打ちの状態に・・・。今回もまた「サブ・プライム問題」が原因と見られていますが、2月の世界同時株安の時とは少し違っているようです。






世界の株式市場はぱっとしない展開に
 米国の「景気軟着陸」期待から好調を博してきた世界の株式市場も、ここに来て頭が重くなってきました。日経平均は世界の株式市場にかなり出遅れたかたちで、6月上旬にようやく18,000円の「世界同時株安」前の水準を回復しましたが、その後は伸び悩んでいます。NYダウ工業株平均の動きを見ても、5月末までは同時株安の水準を1,000ドル近くも上回る13,700円付近まで一気に上昇してきましたが、その後は完全に横ばいです。こうした傾向は欧州でも同様です。

「サブ・プライム問題」の再燃が原因
 世界の株式市場が頭打ちになっている最大の理由は、2月の世界同時株安の要因のひとつにもなっていた「サブ・プライム」問題が再燃していることです。
 この「サブ・プライム」は同時株安当時にも話題になりましたので詳しい方も多いと思いますが、「低所得者や既に多額の債務を抱えた人達向けの、高金利の住宅ローン」のことです。お金を貸す側から見れば、「借りた人が返せなくなって損する可能性もあるけれども、受け取る金利は高い」といういわゆるハイリスク・ハイリターンな商品ということになります。

 このローンの何が問題になっているかというと、ここ1年半ほど米国の住宅・不動産市場が急速に悪化していく中で、不動産価格の下落によりお金を返せなくなった人が急増しているのです。この「ローンの焦付き急増」によりサブ・プライム・ローンを専業で行う業者は大手でもいくつかが破綻に追い込まれました。これが、2月の世界同時株安の要因のひとつになったと考えられています。

今回はヘッジ・ファンド、CDOが問題の中心
 今回も米国ではこのサブ・プライム問題がかなり大きな騒ぎになっています。しかしながら今回は、「住宅ローンを貸す金融機関」ではなくて「ヘッジファンドの破綻」が問題になっています。
 「なぜヘッジ・ファンドが?」という疑問はもっともだと思います。これは少々複雑で、理解していただくためにはある程度「証券化」の知識が必要になるのですが、なるべく分かりやすいようにご説明します。

 ヘッジ・ファンドにも色々な種類がありますが、今回問題になっているのは、さまざまなサブ・プライム専業の金融機関からその「ローン債権(借金の証文みたいなものです)」を買い取り、それらを束ねて一まとめにして「債券」の形にしたものに投資する手法をとるヘッジ・ファンドです。この債券をCDOといいます。

 CDOには全米中のさまざまな物件を対象としたサブ・プライム・ローンが入っていますので、たとえばNYの土地が暴落したとしても、西海岸の土地が下がっていなければ、それほど損はしない仕組みになっています。いわゆる「分散が効いている」ため、全体のリスクは抑えられています。
 また、CDOにはある程度土地の値段が下がってしまっても、誰かがその損を被ってくれるという仕組みもついています。その代わり、本来であれば15%くらいの金利をもらえるところを10%くらいしかもらえないような構造です。従って、ローンそのものよりもCDOの方がだいぶ安全であることは間違いありません。

 ヘッジ・ファンドはこうした「安全な」CDOに、資金を借り入れてレバレッジをかけた上で投資しています。お客さんから預かっているお金は例えば10億円しかなくても、90億円くらいお金を借りてきて、100億円分のCDOを買うことが可能です。もちろん90億円の借金には利子がかかりますが、CDOの利回りの方が借金の金利よりも高ければ、ファンドは儲かるわけです。

ベア・スターンズ傘下の二つのヘッジ・ファンドが救済されることに
 しかしながら、最近の不動産価格の下落、ローン焦げ付きの急増は、CDOに許容された「ある程度の損失」をはるかに上回ってきています。このためヘッジ・ファンドはかなりの大損をしており、借金の返済もままならなくなる例が出てきました。これが先週あたりに新聞をにぎわせた「ベア・スターンズ傘下のヘッジ・ファンド」です。もはやCDOを全部処分してもおそらく借金は返せないところまで損失が広がっていることから、最悪の場合はファンドに出資してもらったお客さんにお金を返すどころか、追加でお金をもらわなければいけなくなってきてしまっているのです。

 ここから先は筆者の憶測が入りますが・・・、メディアではこうしたヘッジ・ファンドはほんの一部で、全体としては影響はもうほとんど無い、ということになっていますが、筆者は問題はここで終わらないと見ています。実はこのCDO、規模は100兆円あまりもあり、しかもそのほとんどが適性には評価されていない可能性が高いのです。

 そもそもCDOは満期までの途中でだれかに売却するような事態を前提としておらず、売買はほとんどありません。このため「真の価値」は誰にもわかりません。今回のベア・スターンズの件でも、真の価値を知るために競売にかけることが検討されましたが、影響が広がることを恐れ、結局中止になっています。誰も本当に問題がどこまで大きいのか知りたくないのです。

 これは日本の不良債権問題と構図がそっくりです。筆者には、誰もどれだけ債権放棄をすればよいのか分からなかった90年代前半の日本をみるような気がします。日本の場合はその後徐々に徐々に問題が広がり、結局金融システムはガタガタになり長期に渡る不況の原因となりました。米国もスケールはそれよりも小さいものの、それに近いかたちになる可能性もある、という感じになってきたと見ています。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿