2007. 8. 6
住宅不動産問題で米ドル全面安はどこまで続く
2007. 7.30
今って円安バブル?弾けてみないとわからない
2007. 7.24
為替市場に影響与えるサブ・プライム問題って
2007. 7.17
魅力的な新興国の高金利通貨はここに注意
2007. 7.13
世界の株式市場が冴えない原因はやっぱり・・
2007. 7. 9
2007. 7. 2
金利の落ち着きでドル安、円安傾向が復活
2007. 6.29
「分散投資」と「ヘッジ」はどう違う?
2007. 6.26
債券市場は大波乱、株式・為替市場への影響は
2007. 6.15
世界的な株式上昇相場もいよいよ曲がり角?
2007. 6.11
米ドル反発の鈍さはやはり住宅市場の影響か
2007. 6. 4
米国経済好転の兆し、本格的ドル高に繋がるか
2007. 5.28
まだまだ続く円安、今後円高になる条件とは?
2007. 5.22
人気のBRICs、次に注目すべきはどこの国
2007. 5.18
世界的好調の中、日本株だけ盛り上がらない訳
2007. 5.10
歴史的水準に達した豪ドル、今後の行方は?
個人投資家のFXブームで円安バブルの懸念
最近はプロだけでなく、一般の個人投資家の方にもFXの人気が浸透しているようです。その影響は予想以上に大きく、もしかすると円安は行き過ぎ?と心配する声も・・・。
米住宅市場はやはり相当弱い
ここ2週間ほどの間に米国住宅市場関連の指標が相次いで発表されましたが、やはり予想以上に状況は悪いようです。住宅市場関連の指標悪化は最近始まったわけではありませんが、4月下旬から6月はじめにかけてはこれがまったく無視され、債券市場では「景気はそれほど悪くならない。もはや利下げは必要ない」という見方から長期金利が急上昇していました。それがここ2週間ほどは、住宅市場に再び注目が集まって徐々に金利が低下に転じています。
長期金利の低下は円安を促すか?それとも円高なのか?
筆者は前回のコラム
「金利の落ち着きでドル安、円安傾向が復活」
でもお伝えしたとおり、このまま長期金利が低下していくとすれば、円は欧州、オセアニア通貨に対しては円安となる可能性が高いだろうと見ています。ただ米ドルについては、世界経済減速の震源地で、住宅部門がこれからどれだけ個人消費等を通じて経済全体に影響を与えるかどうかが今のところは見えていないことから、対円でも下がる、つまり円高になる可能性があると考えています。
しかしながらここ1週間ほどの動きを見ると、円はほぼ全面高です。これは株式市場が住宅市場の状況を見て下落し始めており、これにより「円キャリー・トレード」が減る可能性が高まるため、というのがもっとも通りの良い説明だと思います。2月下旬から3月にかけての「世界同時株安」の時もまったく同じ展開で、株安と円高が同時に進みました。
ただ、3月には株安も円高もすぐに終わり、また再び上昇基調に戻りました。だからといって今回も同じかというと、必ずしもそうとはいえません。筆者は今のところは、長い眼で見れば、3月と同じような一時的調整で終わるのではないかと見ています。世界経済は経済のグローバル化、新興国の発展により、歴史的に見て極めて良い経済構造になっています。そこに多少の景気循環による調整が入っても、そもそものベースとなる成長、発展のスケールが大きいことから、厳しいものになる可能性は少ないと見ているためです。
「FXによる円安バブル」がリスクか?
以上のように筆者は、多少短期的な調整があっても、株式市場は好調を維持できるし、円も長期的な日本の競争力低下を反映して下落傾向が続くと見ています。新興国の発展は、資源に対する需要を拡大し、それにより豪州のような資源大国における投資はとどまることを知らない状態になっています。欧州も東欧への拡大により競争力を強めていますので、オセアニア通貨や欧州通貨は確かに歴史的に見て割高に見える水準にまで上昇していますが、それなりにその強さを正当化することができ、今後も上昇が続く余地も十分にあると考えられます。
この見方に対する最大のリスクは、ひょっとすると筆者が思っているよりも円安が行き過ぎているかもしれないということです。気になるのは、最近、筆者の周りでもほとんど為替などに興味のなかった人々が、「FX」なるものを急に始める例がかなり多くなってきたことです。
FXについてはおなじみの方も多いと思いますが、一昔前までは「証拠金取引」という呼び名の方が一般的であった、レバレッジをかけて自己資金を膨らまし、為替のフォワードを売買するアレです。どうもここ数ヶ月、このFX絡みの利益の脱税の報道が相次いでおり、それが億単位の儲けだったりしたものですから、一気に有名になったようです。
もちろん「一気に有名になった」といっても、プロの世界ではもう何年も前から「個人のキャリー・トレード」が、いままで見られなかったような「円安と株高の同時進行」を実現しているという形で、大いに注目はされていました。その規模も年とともにどんどん増えており、今では円がらみの為替相場を大きく動かす主体に成長しています。
しかしながら、ここまで「初心者」の方々がギャンブル感覚(失礼)で乗ってくるとなると話は別です。「ひょっとすると円安ももうそろそろ終わりか?」という雰囲気が漂っていると感じるプロが増えています。思い起こせば、プロのほとんどはここまで円安になるとは率直に言って予想していませんでした。個人投資家の力がいかに凄いのかをまざまざと見せられたところではありますが、何度も何度も予想を円安方向に修正してきたプロも、いつしか円安バブルに乗っていた可能性もあります。
円は長期的に見ればまだまだ円安に行くでしょう。しかしながら、短期的に見れば、円安バブルの修正もありえる雰囲気になってきた・・・。
現在の為替市場のコンセンサスはこんな感じでしょうか。円安はバブルかもしれません。それが崩壊するリスクもあるということだけは頭に入れたおかれた方が良いでしょう。
グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿