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金利の落ち着きでドル安、
円安傾向が復活


金利上昇が続いた債権市場もようやく落ち着き、ドルが下がり始めました。そしてそれ以上に円が下げています。今後も世界的な金利低下が続いた場合、円安はさらに進んでいくのでしょうか?






債券市場の嵐もようやく収まる
 嵐のような金利上昇が続いていた債券市場もようやく落ち着きを取り戻したようです。筆者は前回のコラム「債券市場は大波乱、株式・為替市場への影響は」で、「金利がこれ以上上がる理由はもはや見当たらない。今後は金利上昇が景気にプレッシャーをかけることもあり、再び金利は下がってくるだろう」と予想しましたが、とりあえず本格的金利低下に向けての第一歩を踏み出したと考えています。

ドル安、円安傾向が復活
 同時に筆者は「仮に予想通り金利が下がれば米ドルが再び下がり始め、それと同時に円も下がることから、結局欧州通貨やオセアニア通貨に対して円安になる可能性がある」と予想しました。
 為替市場の動きを見ると、こちらも今のところ、筆者の予想通りの動きになっています。164円台から161円まで下げていたユーロは、金利の落ち着きとともに上昇に転じ、既に165円台後半まで上げて史上最高値を更新しています。豪ドルや英ポンド等も同様の動きです。

 ただ、円が米ドルに対しても結構下げているのが予想外です。円は対米ドルで123円台まで来ています。長期金利の落ち着きは基本的に「米国の景気はやはりそんなに強くはならない」という見方によるもので、こうした見方から米ドルが対欧州通貨等で下がっているのですが、円はそれ以上に下がっています。円はほぼ全面安といってよいでしょう。

日本の利上げの可能性は?
 しかし円が現在の状況で全面安になっているのは少々不思議な感じもします。日本では8月、場合によっては7月に追加利上げがあることがほぼ確実視されていることから、欧米で長期金利の上昇が止まりピークから0.1〜0.2%下がってきても、なかなか日本だけは金利が下がらないという環境にあります。こういう状態で円が全面安となるのは不思議です。

 この理由はいくつか考えられます。まず考えられるのは、日本の利上げは長期的に見れば非常にゆっくりとしたペースになるので、それほど為替相場には影響がないと多くの人が思っている、というものです。これは利上げ開始から1年を経過しても一向に円安が止まらず、長期金利の上昇も限定的であることを考えると、説得力のある理由です。

 もうひとつ考えられるのは、債券市場では利上げが確実視されていますが、為替市場では利上げに対して懐疑的であるかもしれない、というものです。債券、株式、為替の市場がそれぞれまったく別のことを考えていることは時々あります。今回もひょっとするとそうかもしれません。仮にそうであれば今後はどちらかに鞘寄席され、たとえば利上げが本当になされた場合には円高になるし、利上げがない場合には円安はそのままに長期金利が下がってくることになります。そういう可能性もあるでしょう。

今後世界的な金利低下がさらに続いたら、円安はさらに進行?
 さて、いずれにせよ筆者はこのまま長期金利が本格的に下がっていく可能性が高いと見ています。米国の住宅市場の状況は最近発表された指標でも、さらに一段と悪化していることが確認されており、これが今後個人消費などに影響を与える可能性が非常に高いと見ているためです。

 そうなった場合は、おそらく米ドルがまた一段と下がり、円もつれ安すると見ています。日本の利上げも、ただでさえ今後はゆっくりで、ひょっとしたらもう当分ないとみられているくらいですから、円は対米ドルでもさらに一段と下がるかもしれません。

 欧州通貨やオセアニア通貨に対しては、こうした地域の景気の強さが目立つ間は、やはり円とドルは下がっていくと見ています。これからしばらくはそうした状況が続くと考えられることから、対欧州、対オセアニア通貨で、一段の円安になる可能性が高いのではないかと見ています。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿