2007. 7.17
魅力的な新興国の高金利通貨はここに注意
2007. 7.13
世界の株式市場が冴えない原因はやっぱり・・
2007. 7. 9
個人投資家のFXブームで円安バブルの懸念
2007. 7. 2
金利の落ち着きでドル安、円安傾向が復活
2007. 6.29
「分散投資」と「ヘッジ」はどう違う?
2007. 6.26
2007. 6.15
世界的な株式上昇相場もいよいよ曲がり角?
2007. 6.11
米ドル反発の鈍さはやはり住宅市場の影響か
2007. 6. 4
米国経済好転の兆し、本格的ドル高に繋がるか
2007. 5.28
まだまだ続く円安、今後円高になる条件とは?
2007. 5.22
人気のBRICs、次に注目すべきはどこの国
2007. 5.18
世界的好調の中、日本株だけ盛り上がらない訳
2007. 5.10
歴史的水準に達した豪ドル、今後の行方は?
2007. 5. 2
進むドル安、米国経済の影響力低下が原因か
2007. 4.23
為替市場も驚く、日本人の積極的な外貨買い
2007. 4.13
さえない株式市場はイラン問題の影響?
債券市場は大波乱、
株式・為替市場への影響は
ここ最近の異常なほどの金利上昇はもはや手がつけられません。では、この金利上昇は株式市場、為替市場にはどのような影響を与えているでしょう。
債券市場が大波乱
このところの金利の上がり方は久しぶりに「凄いな」という感じがします。米国の長期金利はこの1ヶ月で0.7%も上がりました。この2週間でも0.4%近く上げています。「なぜこんなに金利が上がっているのですか」と筆者もよく聞かれますが、もはや理由が見当りません。まさに手のつけようのない状態です。
4月くらいから米国の製造業の指標が少しよくなってきたこと、欧州やアジアの指標が予想よりも良いことなどを受けて、ジワジワと金利が上がっていましたが、多くの市場参加者はそのうち下がるだろうとタカをくくっていました。しかしながら金利上昇は止まらず、自分の含み損も抱えきれないところまで膨らんできてしまったので、いわゆる「ロス・カット」がいっせいに出たのでしょう。これしか理由が思い当たりません。
決定的によくなった指標が何かあるのかというと、どうも見当たらないからです。米国の住宅・不動産関連の指標はかえって悪化しており、バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長も住宅の減速は予想していたよりも長引く公算が高まっている、と最近の講演の中で述べています。そうした中でここまで金利が上がってきたのは「凄い」と表現する以外に言葉が見当たりません。
金利上昇の為替市場への影響は?
さて、これだけの波乱です。株式や為替など他市場への影響も当然あると考えるのが普通です。
まず株式市場を見ると、この金利上昇で株価上昇が止まり、若干ではありますが調整し始めています。金利が上昇するということは、安全な資産でもそれなりにリターンが稼げるようになるということですので、リスク資産から資金を引き上げる人が増えます。また、企業収益も金利上昇により圧力を受けることになりますので、株にとって金利上昇はマイナス要因です。
一方、為替市場を見ると、米ドル高傾向が出ています。これは今回の金利上昇の発端が「米国の景気底割れ懸念が相当なくなってきた」ことであったため、素直にそれを米ドル高要因として市場が解釈しているためだと思われます。
そして米ドルにつれて、円も「連れ高」しています。この1週間でユーロは164円から161円台後半に、英ポンドも242円台から239円まで下げています。これまで円は「米国経済が崩れればもっとも影響を受けるのは日本だ」という見方からひたすら円安になってきましたが、ここにきて米国経済に対する不安が減退したことで、円も若干ではありますが上昇しています。
こうした環境の中でついにニュージーランド連銀が11日(月)介入を実施しました。おそらく対円、対米ドルで過去20年で最高水準にあるニュージーランド・ドルを、米ドルや円が買われやすくなっている環境の中で少しでも安くしたいとの思いからだったのでしょう。介入は今のところあまり大きな効果はもたらしていませんが、今後も断続的に行われる可能性もあります。
円/米ドルは非常に安定
以上のように、足元は「米国経済に対する不安後退」から米ドルと円に対する買いが強まっています。その結果、円/米ドルレートは121円台での安定が続いています。
筆者は、今後為替相場が大きく動く、たとえば今まで大きく円安になってきた対欧州通貨や対オセアニア通貨の円レートが急に円高にふれるようなことがあっても、円/米ドルレートはそもそもそれほど円安になっていないので、それほど大きく円高には行かないのではないかと考えてきましたが、ここ最近の動きを見てその思いを強くしています。円/米ドルは今後も安定する可能性が高まっているように思えてなりません。
逆に言えば、円と米ドルが下がるときは、欧州通貨やオセアニア通貨が円・米ドル両方に対して上がっていく、つまり、これまでと同じように「対ドルではそれほど円安になっていないが、対欧州、対オセアニアでは円安になる」状態が続く可能性が高まっているということです。この点についてはまだ仮設段階ですが、ひょっとすると日本と米国との結びつきは最近またかなり強まっているのではないかと思っています。これについては今後しばらく相場の動きを見ないと検証できませんので、今後の動きに注目したいところです。
最後に今後ですが、とりあえずここまで金利が上がりましたが、今後は上昇した金利が実体経済、とくに住宅・不動産市場にプレッシャーをかけること必至ですので、その時に景気は本当に大丈夫なのか?というのが次の焦点になってくると思います。筆者は、おそらく景気は「やっぱりダメでした」ということになり、金利もまた下がってくるのではと予想していますが、正直いって足元の市場の動きを理解し切れていない部分もありますので、予想の自信度は高くないです。
ただ、「やっぱりダメでした」となった場合には、とりあえずはやはりドル安になるのではないかと考えています。そのときは円も一緒に下がり、結局欧州通貨やオセアニア通貨が円に対して一段と上がる、ということになるかもしれません。推移を見守りましょう。
グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿