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世界的な株式上昇相場もいよいよ曲がり角?


好調を続ける世界株式市場ですが、不安要素も抱えていることをご存知ですか?今後の動向を注意深く見ていく必要がありそうです。






絶好調が続く欧米株式市場、日経平均もようやく18,000円を回復
 欧米の投資家は2月の「世界同時株安」をもはや憶えていないかもしれません。米国株は「株安」直前の水準から既に6%高、ドイツ株に至っては14%も上昇しています。好調の要因はいくつか挙げられますが、ひとつは、米国の企業部門が少し前に予想されていたよりもかなり良いことです。これは欧州の景気が相変わらず好調なことと合わせ、世界経済全体の好調持続期待にもつながっています。また、M&Aや自社株買いも非常に活発になっていることも株式市場のムードを良くしています。M&Aの規模は既にITバブルの頃と同水準にまで復活してきており、欧米の株式指数がちょうどバブル崩壊前のピーク水準にまで回復してきていることもあって、市場の雰囲気を盛り上げています。

 こうした世界的な市場好調を受けて、出遅れていた日本株もようやく上昇し始めています。日本株が出遅れていた理由としては、「そもそも2003年からの回復相場を通してみると日本株は130%も上昇しており(米国は90%程度)割高化していたから」「最近の経済指標、とくに物価関連の指標が弱いため」「企業業績予想が非常に低調」等さまざまな要因が挙げられていましたが、いずれにせよようやく明るい光が見えています。

不安要因も「山積」−(1)長期金利上昇
 ただ、先行きを見ると、世界の株式市場には不安要因が山のように立ちはだかっています。ここでは4点取り上げます。

 まず1つ目は、世界的に長期金利が上昇していることです。米国ではここ2ヶ月ほどの間に企業部門の景況感が好転し、景気の底割れが回避されるという期待が高まっており、これを受けて一時ほぼ確実視されていた年内の利下げ期待も完全に消え、一部には利上げが実施されるかもしれないという憶測すら芽生えています。これに加えて欧州では景気が予想を上回る好調を続けていることから大きく金利が上昇していますし、日本でもここ8ヶ月ぶりに1.8%まで長期金利が上昇しています。こうした世界的な金利上昇は株式市場にとっては確実にマイナスです。

不安要因−(2)業績不安
 不安要因の2つ目は、企業業績が「予想されていたよりも好調」といっても、趨勢的には減速が続く可能性が極めて高いことです。日米ともにここ5年ほど2桁増益が当たり前でしたが、今後1年程度はかなり厳しくなり、とくに米国の場合は減益もありうると予想されています。米国では1-3月期の決算が予想よりも好調で、4-6月期の見通しも思ったよりも良かったことから楽観ムードが漂っていますが、油断できるような状況ではありません。

不安要因−(3)米住宅市場
 3つ目は、これが実体経済的にはもっとも大きな影響力を持つ要因ですが、実は米住宅市場が回復には程遠い状態にあるということです。最近の企業部門関連の指標回復によってほとんど忘れられたような状態にありますが、米住宅市場の状況は好転しているどころか、むしろ低迷がかなり長期に渡って続くことが確実になってきています。

 1月〜2月にかけては低所得者や既にローンをかなり抱えた人々向けの高金利ローン「サブ・プライム・住宅ローン」専業業者が破綻するなどしたため、かなりこの問題が注目を浴びましたが、その後銀行等の他の住宅ローン提供業者が貸出姿勢をとくに厳格化させた形跡もないことから、問題がそれほど深刻ではないというムードが漂っています。しかしながら実際には業者の在庫が増え続けて、かなりの値下げをしなければ住宅が売れなくなってきており、今後は足元の長期金利上昇が事態をさらに悪化させている可能性が高いことから、今後は不動産価格の値下がりを通じて個人消費に本格的な影響を与える可能性が高まっていると見たほうが筆者は良いと思っています。

不安要因−(4)中国株式市場バブル崩壊
 4つ目は中国株のバブル化とその崩壊が世界の経済と市場に大きな影響を与える可能性です。中国では昨秋くらいから海外からの資金流入が非常に活発となり、株式市場が急騰しています。海外からの資金流入は合法的なものに加え、輸出代金の水増しや不法な送金等様々なルートを通じて行われていることを既に中国政府が認めており、政府はその抑制を積極的に行おうとしています。

 この結果、2006年初から6倍、今年初から見ても2.8倍まで高騰していた中国株市場(外国人投資家の主要市場である上海B株の数字)も、相次ぐ利上げや、法定準備率引き上げ、証券取引にかかる印紙税の引き上げ等の引締め策により当局の「本気」が感じられたことから、5月21日につけたピークから3割ほど下落しています。

 これがこのままバブル崩壊に向かうかどうか、また他の株式市場にどれほどの影響を及ぼすかは今のところ何ともいえませんが、ここ数年中国も含めた新興国市場の好調から資金を集めてきたヘッジ・ファンドの破綻が相次ぐ事態になるといったことになると、確実に影響が出てくると考えられます。

 以上のように見ると、好調の続いている株式市場も楽観一辺倒というわけには行かない状況です。とくに、長期金利と米国住宅市場の動向は世界経済に大きな影響を与えることから、今後注意深く推移を観察する必要があるでしょう。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿