2007. 7. 2
金利の落ち着きでドル安、円安傾向が復活

 2007. 6.29
「分散投資」と「ヘッジ」はどう違う?

 2007. 6.26
債券市場は大波乱、株式・為替市場への影響は

 2007. 6.15
世界的な株式上昇相場もいよいよ曲がり角?

 2007. 6.11
米ドル反発の鈍さはやはり住宅市場の影響か

 2007. 6. 4

 2007. 5.28
まだまだ続く円安、今後円高になる条件とは?

 2007. 5.22
人気のBRICs、次に注目すべきはどこの国

 2007. 5.18
世界的好調の中、日本株だけ盛り上がらない訳

 2007. 5.10
歴史的水準に達した豪ドル、今後の行方は?

 2007. 5. 2
進むドル安、米国経済の影響力低下が原因か

 2007. 4.23
為替市場も驚く、日本人の積極的な外貨買い

 2007. 4.13
さえない株式市場はイラン問題の影響?

 2007. 4. 9
日本が歴史的円安から脱出するためすべきこと

 2007. 4. 2
株式市場の推移次第でゆっくり円安をたどる?

 2007. 3.27
世界同時株安で「ドル安」から「円高」へ














米国経済好転の兆し、
本格的ドル高に繋がるか


米国経済の「底割れ回避」に期待が高まってきたのでしょう、現在若干のドル高傾向です。果たして本格的なドル高へとつながっていくのでしょうか?また、これに伴い円の動きはどうなるでしょう?






米国経済の「底割れ回避」期待が高まる
 1月中旬に米国の「サブ・プライム住宅ローン」(低所得者や既に高額のローンを抱えている人達向けに高金利で行う住宅ローン)専業業者の破綻問題が表面化してからというもの、米国経済には底割れのリスクがあるのではないかという見方が台頭し、2月下旬からは一時的ながらも世界的な株式市場の調整を招いたことは記憶に新しいところだと思います。こうした中、欧州やオセアニア地域の景気が予想以上に良く、為替市場では米国経済の相対的な弱さに注目が集まり、米ドル安傾向が見られる展開となっていました。

 ただし、こうした傾向は5月に入ってから反転してきています。米国の経済指標に好転が散見されるようになり、底割れ回避の期待が高まってきたためです。米国では、住宅・不動産市場の減速は誰の目から見ても明らかなほど厳しいものとなっていますが、これに加えて企業部門にも受注統計等に先行き不安が見られ始め、今後は雇用情勢も悪化する可能性がささやかれてきました。こうした懸念は4月の終わりごろまで続きましたが、今月発表されている企業・雇用関連指標は思った程悪くないものが多く、懸念は大分解消されています。

 金融政策見通しについても、しばらく前までは今年の秋頃から利下げ局面に入ることが確実視されていましたが、足元では「少なくとも今年中の利下げはない」という見方に変わってきています。市場参加者は、住宅・不動産に不安が燻っていることから慎重なスタンスを崩していないものの、ひところと比べればかなり楽観的になってきているようです。

本格的な米ドル高につながるのか?
 こうした米国経済に対する不安の後退は、為替市場では若干の米ドル高につながっています。4月下旬以降、米ドルが118円台から121円台後半まで対円で上昇しているのに対して、ユーロや豪ドルのレートが163円、100円程度でそれぞれ横ばいとなっていることにお気づきの読者の皆様もたくさんいらっしゃると思います。

 ただ、米ドル高はまだ本格的なものではありません。例えば昨年の9月あたりとの為替相場をあらためて見てみると、米ドルは118円でしたがユーロは150円、豪ドルは88円くらいで、米ドルがほとんど変わっていないのに対してユーロや豪ドルは1割程度も上昇しています。ここ8ヶ月の「ドル安」に比較すれば、ここ数週間の「ドル高」など取るに足りないものです。

 これが本格的な「米ドル高」に発展するためには、米国の住宅・不動産も含めた全体に対する不安が完全に解消される必要があると考えられます。今のところ、金融市場の参加者には住宅・不動産の低迷はある程度長期間続くと考えている人が多く、彼らはまだそれほど本格的にドル高が進むとは思っていません。このため米ドルの反発も現状は非常に小幅なものにとどまっています。ただ先行きについては本当に不透明で、場合によっては不動産が思ったよりも早く再び上昇に転ずる可能性も無きにしも非ずです。いずれにせよ今後の米ドルの動向は住宅・不動産が握っているといってよさそうです。

次は円の反発も?
 こうした中、今後の円相場はどう動くと考えるのがよいのでしょうか?先ほどのように昨年9月からの動きを振り返ると、円は米ドルとまったく同じペースでユーロや豪ドルに対して下落してきたのが分かります。これはもっとも素直に解釈すれば、日本経済は米国経済減速の影響を強く受けることから、米国経済が落ち込めば日本経済も同様に落ち込むという見方によるものだと考えられます。

 そう考えれば、最近の米ドル反発は円の反発にもつながる可能性があるのではないでしょうか?日本の経済指標を見ると、米国同様に企業の受注が落ち始めており、いままで好調だった雇用情勢も有効求人倍率がピークアウトするなど不安が出てきています。物価も消費者物価指数がついに前年比マイナスになるなど、米国と同じかあるいはそれ以上に指標の悪化が目立ちます。

 ただ、米国経済の底割れが回避される可能性が高まるとなれば、今後は流れが変わってくる可能性があります。実は日本の指標でも好調を維持しているものがあり、このところそうした指標はほとんど無視されていますが、こうしたところに今後は注目が集まって円の反発につながるかもしれません。日本の指標では、GDPデフレーター、貿易収支、雇用者所得等が改善してきています。とくにGDPデフレーターの改善は「デフレ脱却」の可能性にもつながる、非常に重要な出来事です。消費者物価指数も今後数ヶ月で再び上昇するという予測もありますので、展開によっては円が反発することも視野に入れたほうが良いかもしれません。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿