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 2007. 1.16

 2007. 1.12
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 2006.11. 7
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景気が良いのに円安の不思議、
原因は日本株?


年末の市場は、一言で言えば「株高・債券安・円安」。そして2007年、「景気はよい」一方で「円安の進行」という見方が一般的です。なぜこのような不自然な状況が起きているのでしょうか?






年末は「株高・債券安・円安」、NZドルがとくに好調
 あけましておめでとうございます。本年も当コラムを御笑覧いただければと思います。
 さて、まず年末の相場展開を一言で振り返ってみますと、「株高・債券安・円安」だったといえるかと思います。11月には15,000円台まで下げていた日経平均株価は、5月以来の17,000円台を回復、NYダウ平均株価も最高値の更新が続きました。半年ほど低下基調にあった長期金利も世界的に上昇し、景気が特に好調といわれているユーロ圏では、8月以来の水準まで戻っています。
 一方で為替相場はドル/円相場が115円台から119円まで円安に、とくに上昇が大きかったのが日本人投資家に人気のNZドルで79円台から一気に84円台まで6%あまりも上昇して2006年の最高値を更新しました。

「2007年の景気は良い」という見方を織り込む株式・債券市場
 こうした「株高・債券安」は、典型的な「景気は良い」という見方を織り込む相場展開です。債券市場では「来年は米国経済がかなり減速するため、比較的大きな利下げが必要になる」という見方が広まりつつありましたが、年末になってそうした懸念が薄れ、「あまり大きな利下げをする必要はない」という見方に変わってきました。

 株式市場もそうした見方を素直に反映して世界的に上昇しました。少し前までは「利下げをしないと株は上がらない」という見方が主流でしたが、そこからもう少し市場参加者が強気になり、「あまり大きな利下げがなくても景気が好調なので株は上がる」というのが一般的な見方になりつつあります。

景気は良い、ではなぜ為替市場で円安に?
 しかしこうした株式・債券市場が織り込んでいる「2007年の景気は良い」という見方と「円安進行」はなかなか因果関係を見つけにくいというのが正直なところです。世界の景気が良いときは貿易立国である日本の景気はその中でもとくに良くなり、円高につながりやすくなるというのが今までの「歴史」であり「常識」でした。今回はまったく異なることが起きています。

 また「円安」は「日本の金利上昇」とも非整合的です。日銀は12月の利上げを見送りましたが、世界の景気が好調なのであれば1月にも利上げを実行する構えを依然として見せています。おそらく世界経済が、株式市場が織り込んでいるように好調となるのであれば、利上げは一度で終わりではなく、何回か連続的な利上げが実行されることになると考えられます。こうした中で円安が進むのは不自然です。

日本人の「リスク許容度」が為替市場のキー・ポイント
 ただ、こうした「景気好調・株高の中での円安」は今回に始まったことではありません。一昨年、2005年の相場展開はまさしく「株高と円安の同時進行」でした。この現象も当時はずいぶんと不思議がられましたが、筆者はそのときの経験を元にひとつ仮説を立てました。

 筆者の仮説は、日本人投資家(これは小口資金で投信を購入している大半の方々を含みます)にとってもっとも馴染みのあるリスク資産は「日本株」で、日本株が上昇している時は「リスク許容度」が上がることから日本株と同時に外貨建て資産への投資も増やす。逆に日本株が下がるとリスク許容度が下がり、日本株と同時に外貨建て資産への投資を減らす。ただしリスクの絶対量は株式の方が大きいため、為替相場は日本株ほど大きく動かない。しかしながら両者の方向は完全に一致する・・・というものです。

 ここでいう「リスク許容度」とは、要するに「どこまで損をできるか」という指標で、儲かっているときはある程度損をしても大丈夫と大方の人は思いますので「リスク許容度が上がり」、損をしているときはこれ以上損をしたくないと思いますので「リスク許容度が下がる」といいます。

 筆者の仮説では日本人の投資の基本はあくまでも「日本株」であるため、日本株の動きがリスク許容度に強烈に作用し、本来日本株の動きと一致する必要のない円相場までもが、それによって動かされている可能性が高いというものです。

歴史的には日本株と円相場は「逆の動き」をする
 しかしこうした「株高と円安が両立する局面」というのは歴史的には実は非常に珍しく、プロの投資家の間では逆に「両者の間には非常に強い『逆相関』がある」というのが常識です。前述のように世界の景気が良いときは貿易立国の日本は潤い、円高になりがちになるというのがこれまでの常識だったからです。

 しかしながらここ2年ほどはそうした局面で今までとは反対に円安になっています。筆者の仮説が正しければこの現象には外国人投資家はあまり関与しておらず、日本人投資家の動向が強烈に作用しているはずです。状況証拠としても、とくに日本人に人気のNZドルや豪ドルが、米ドル以上に円安になっています。筆者は仮説が正しい可能性はかなり高いのではないかと見ています。

 以上のように考えると、率直に言って「2007年の景気は良い」という株式・債券市場の織り込む見方と、「円安」という為替市場の現象は結びつきにくいです。また、昨年最後の当コラム「2007年為替市場のテーマを大胆予測」でも記したように、こうした現象が続いた結果、円は歴史的に見て非常に割安、NZドルや豪ドルは非常に割高になっています。今年はこうした現象が反転し、思わぬ「水準訂正」があるかもしれません。そうしたリスクを考えるべき時期に来ていると思えてなりません。日本人投資家は一方向に流れやすい特質を持っています。もしかすると「円安バブル」状態になっているのかもしれません。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿