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回復の兆しを見せるNZドル、
その背景は?


急回復のNZドル、背景には日本金利の上昇予測が密接に関わっていたようです。さて、今後の更なるNZドルの行方はどのような点に注目すべきでしょう。






NZ/円が急回復
 NZ(ニュージーランド)ドルが急回復しています。NZドル/円は昨年12月から今年5月にかけて20%以上も下落し、当時は一部で社会問題にも発展していましたが、6月以降急回復し、足元ではピークから9%程度安の水準まで戻っています。同国の短期金利が約7%と非常に高いことを考えると、仮にもっとも円安NZドル高の水準で投資を始めた人であっても、トータル・リターンではかなりマイナス幅が縮小し、20%の税率を勘案しても3〜4%のマイナスというところまで回復したことになります。

NZドル/円回復の背景は?−(1)日本の金利見通しの転換
 このNZドル回復の理由は大きく分けて二つあると考えられます。
 一つは日本の金利見通しが変化したことです。

 NZドルが対円で暴落した主因は、昨年の12月くらいから日本のデフレ脱却・金利上昇見通しが強まり、「これまでのように日本人が高い金利を求めて外貨建て資産に投資しなくなるのではないか」という不安が急速に広がったためでした。NZは経済規模が小さく、国際的な投資家からは大きく注目される国ではないのですが、日本では「高金利国」としてとくに個人投資家に人気がありますので、日本からお金が入ってこなくなるとNZにとってこれは大問題です。

 こうした見方の下、NZドルに対しては売りが売りを呼ぶ展開となり、一旦は暴落しました。しかしながらその後日本では、7月以降「どうも日本のデフレは解消されていないのではないか」という疑いが強まり、「それまで考えられていたほど金利が上がらないかもしれない」という見方が強まってきました。これにより、日本の金利が上がらないのであれば日本から引き続きお金が流れてくる、また、日本円を借りてNZのような高金利通貨に投資をする、いわゆる「円キャリー・トレード」も引き続き出てくる、という見方が強まり、NZドルの回復につながったのです。

NZドル/円回復の背景は?−(2)株式市場の反転上昇
 NZドル回復の要因にはもうひとつ株式市場が反転上昇したことも挙げられます。
 昨年は日本株の暴騰と円安が共存するという、一見わかりにくい現象がおきました。従来であれば、日本株が好調なときは「日本経済が相対的に強い」ということですから、円高になりがちですが、昨年は逆に円安になりました。
 この現象がおきた理由には諸説ありますが、「株式市場の上昇により日本の投資家がリスクをとれる余地が大きくなり、それによって株式と外貨建資産への投資を両方同時に増やしたため」というのが有力です。

 今回7月以降のNZドルの上昇は、まさに株式市場の回復と同じタイミングでおきましたが、これもおそらく昨年の「株高と円安」と同じ構図であったと考えられます。4月〜6月にかけて世界的に株式市場が調整していた際にはなかなかリスクをとれず鳴りを潜めていた投資家が、株式市場の回復とともに株式のリスクと為替リスクの両方をとりに、再び動き始めるという動きがあったと推測されます。

NZドルの行方は日本の金利と株式市場次第?
 以上のように考えると、今後のNZドル/円レートは「日本の金利」と「株式市場」が大きな鍵を握っていると考えられます。現在、日本の金利については、8月に行われた消費者物価指数の基準改訂によりデフレ脱却見通しが危うくなったことで、金利先高感が薄れています。また、株式市場のほうは米国が「原油価格低下」と「長期金利低下」の効果で「景気の軟着陸」に成功することを前提に好調な状況が続いています。率直に言って、これは世界経済が「最良の道を辿る」ことを前提とした相場形成です。

 筆者の見方はもっと景気に対して弱気です。米国の不動産市場の悪化はまだ始まったばかりで、今後ますます景気に悪影響を及ぼしてくる可能性が高いと考えています。そうなれば、米国をはじめとして世界中の国が最終的には利下げに動かざるを得なくなるでしょう。仮にそうなった際、日本の金利は現状でもまだゼロに近いところですから、低下したところで微々たるものです。むしろ高金利国の金利低下幅の方が大きくなり、日本との金利差が縮小する可能性のほうが高いと見るのが自然です。株式市場も景気見通しが悪化すれば、当然悪影響を受けるでしょう。

 以上のように考えれば、NZドルはもう十分な水準まで回復したと見てよいと、筆者は思います。いずれにせよ、NZドルを見る際のポイントも「米国の住宅市場」です。ここが現在考えられている通り「軟着陸」すれば、NZドル投資もまずまず良好な結果となるでしょう。逆に住宅市場が「失速」すれば、再び下落に転ずるはずです。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿