2006.11.17
最近の株高、持続のポイントはどこ?

 2006.11.14
米ドル対円、今後の動きは日本のふんばり次第

 2006.11. 7
回復の兆しを見せるNZドル、その背景は?

 2006.10.30
北朝鮮の核実験、為替市場反応ナシはなぜ?

 2006.10.20
進む円安の原因は日本株式市場の弱さ?

 2006.10.17

 2006.10.10
米長期金利低下で景気悪化か?為替への影響は

 2006. 9.26
金利低下、原油安は株に有利?それとも不利?

 2006. 9.19
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 2006. 9.11
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 2006. 9. 4
為替市場で目立つのは予想以上の「円」の弱さ

 2006. 8.28
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 2006. 8.25
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 2006. 8.21
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 2006. 8. 4
政治スケジュールから今後の為替相場を占う

 2006. 7.27
日銀利上げでも円安へ、為替市場は膠着状態?














日本経済イメージダウンは為替にどう影響?


日本の消費者物価指数が下方修正されて以降、外国人投資家による日本経済はイメージダウンです。実際の為替市場はそんなイメージとどのように違っているのでしょうか?






「消費者物価基準改定」で大きく変わった日本に対するイメージ
 8月25日に日本の消費者物価指数の基準改定が行われ、インフレ率が従来よりも0.5%程下方修正されて以来、外国人投資家の「日本経済が順調にデフレを脱却しつつある」というイメージは完全に覆われてしまいました。9月以降世界のほとんどの地域で株式指数が上昇しNYダウ平均株価は史上最高値を更新しているのに対し、日本株は下落し日経平均株価がNYダウ平均のリターンをその後1ヶ月間で約10%も下回るという結果になっていました。

 日本以外のほとんどの地域では、景気は既にピークを過ぎている可能性は高いものの、最近の原油価格の下落や米国長期金利の低下がインフレ圧力を引き下げ、景気を安定させるとの見方から、ここ一月ほど株式市場が好調です。それに対して日本では、世界経済が縮小局面に入るときは、その影響をもっとも受けるのは貿易量の大きい日本であるとか、今まで長期的な「日本経済の復活」に賭けてきたがその可能性が消えてしまったとか、悲観論が強くなっています。

「キャリー・トレード復活」による円安も
 こうした「日本に対するイメージの悪化」は、日本の金利が当分上がらないという見方にもつながり、ひいては円安に結びついています。それは昨年末から5月にかけて暴落したNZ(ニュージー・ランド)ドルが、このところかなり上昇していることからもうかがい知ることができます。NZは短期金利が7%以上とかなり高いことから、円売り投機やキャリー・トレードの格好の投資先でしたが、今年前半は日本の金利上昇の可能性が高まってきたことから絶不調になっていました。

 日本の金利は、3月の量的金融緩和政策の解除、7月の利上げ開始と順調に引き上げられてきましたが、当初考えられていたほどの勢いが日本経済になく、また上述の消費者物価基準改定で長期的にもデフレ脱却の可能性が怪しくなってきたこともあって、足元で急速に金利先高感がなくなっています。このため「キャリー・トレード」が復活し、NZドル高円安になっている可能性が極めて高いと考えられます。

実際には日本の景気はそれほど弱くない?
 しかしながら、最近発表された経済指標を見る限り、日本の景気はイメージをいっぺんさせなければならないほど悪くないように思えます。日本の鉱工業生産は非常に順調に増えており、1990年のバブル崩壊以降15年間も更新できなかった最高値をこのところ更新し続けていますし、10月2日(月)に発表された日銀短観も大方の予想に反して小幅ながらも上昇し、企業の景況感がなおも強いことを示しました。こうした指標からは、日本経済のうち少なくとも「企業部門」は好調であることがわかります。

米国経済に対する見方が強気すぎるのでは?
 これに対して米国では日本とは逆に、最近の株価上昇もあって、景気がそれほど悪くならないという見方が再び強まっています。つい最近までは住宅市場の先行指数の大幅な悪化を受けて、これが今後実際に不動産市況の悪化につながり個人消費に非常に大きな影響を与えることから、景気は考えられている以上に悪くなるという見方が強まっていたのですが、最近の論調を見ると、実際の不動産市況はそれほど悪くないことから、先行指数の悪化はかなりオーバーに状況を表している可能性が高く、しかも1990年の米不動産バブル崩壊時と同程度のところまで下げつつあるため、そろそろ底を打つのではないかという見方が出てきています。不動産市場の軟化はもう終わりに近いという見方です。

 確かに仮にそうであれば、今後の景気は悪くなりません。株式市場も上昇してしかるべきです。ただ、筆者にはどうしてもそうは思えません。不動産市場は金融市場と異なり、取引が情報端末のスクリーンで一刻一刻確認できるものではありませんし、相対取引がほとんどですからなかなか全体像を把握できるものでもありません。この点を忘れて「そろそろ終わりだろう」と見るのは楽観的過ぎると考えています。

「イメージ」と「実際」にどの程度差があるのかがポイント
 以上のように、日本でも米国でもここしばらくは「イメージの変化」で市場がコロコロと変化する展開が続いていますが、これはまさに景気がピーク近辺の分岐点にあるためで、こうした局面ではよくあることです。いずれにせよ最終的には市場は実際の景気の動きについていくことになります。

 このため投資家として重要なのは、現在市場が織り込んでいる「イメージ」と、自分の予測する経済の「実際」の動きにどれだけ差があるのかを把握し、仮に自分の見方が正しかったときに市場がそれをどのように織り込んでいくのかをまず考えることです。筆者の場合でしたら、市場は現在かなり円安に傾きすぎており、実際には米国景気の減速によりドル安の方向に動くと考えています。
 もちろん筆者の「景気悲観論」自体が間違っている可能性もあります。ただ、筆者は現状自分の見方にある程度自信もありますので、引き続き「円高」を予測します。

グローバル債券ファンドマネージャー 鈴木 英寿