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保険に関する「三利源」という言葉を聞いたことがありますか?私達が払う保険料と密接な関係があります。今日は「三利源」についてご紹介しましょう。
■ タブーの打破
生保業界のタブーとされてきた三利源の公表がされることになりました。
三利源とは、生命保険会社の利益の内訳です。これが明らかになれば、生命保険会社がどうやって収益をあげているのかがわかります。簡単に言うと、生命保険会社に支払った保険料と、保険会社が実際に使った金額の差額です。
今までは、「製造業でいうと原価にあたる部分で、企業秘密だから」と、その内訳は公表してきませんでした。
「逆ざや」という言葉を聞いたことがありますか?あの「逆ざや」も三利源のうちの一つで、唯一公表されていたものになります。
事の発端は、明治安田生命の不祥事です。あの不祥事をきっかけに明治安田生命は「信頼回復に役立てたい」と三利源を公表することを決定し、二の足を踏んでいたその他の生命保険会社もそれに続いて軒並み公表することになりました。今後は中小や外資系の生命保険会社も公表をする流れになると思われます。不祥事が怪我の功名となった形です。
■ 保険会社の儲けって?
保険会社の売上は、みなさんが支払った保険料です。では逆に、保険会社の仕入、原価は何なのでしょう?例えば魚屋さんであれば、築地での仕入れ値が原価になります。しかし、保険会社は物を売っているわけではなく、サービスを売っているので仕入というものはありません。では。みなさんが支払っている保険料はどのように決められているのでしょうか?
■ 保険料の仕組みとは?
保険会社に支払った保険料を100%とすると、保険料は次の3つからできています。
(1)予定死亡率、(2)予定利率、(3)予定事業費率の3つです。
よって、保険料を100%とすると、予定死亡率、予定利率、予定事業費率を差し引いたものが、生命保険会社の利益になるのです。
同じ保障内容なのに、会社によって保険料が違う場合がありますよね?それはこれらの3つが各社によって違うためです。
では、一つずつ見てみましょう。
【予定死亡率】
予定死亡率とは、過去のデータを元に、その年に死亡する人の数を予測し、支払うであろう保険金を予測したものです。生命保険は安定して事業を行う必要があるので、死亡率を高めに設定しています。よって、保険会社は常に死差益が生じるようになっているのが一般的です。
ですが、ここで注意を!
最近は、「医師の診断が不要」という商品も増えてきますが、健康状態の悪い人が加入すると、全体の死亡率が高まり、結果として予定死亡率は高くなり、保険料は高くなるのが必然です。その仕組みはもうおわかりですよね?
言い換えるのであれば、健康に自信がある人は「医師の診断が不要」という商品は、相対的に割高になると言えます。ですので、効率的な運用や事業費の節約などをよっぽどうまくやらないと、保険会社の経営は悪化してしまうでしょう。
【予定利率】
予定利率とは、保険料を何%で運用していけるかを予測したものです。契約者が支払った保険料を安全・確実に運用するように、ある程度の運用方法は法律で決まっています。
が、外資系の保険会社の運用は以前から長い間、グローバルな視点で運用してきたというノウハウがあるので、一日の長があるとも言われています。
【予定事業費率】
予定事業費率とは、広告費や人件費、家賃などの必要経費を予測したものです。
日本の生保は、都市部の支店や、大量の生保レディーに経費を使っています。一方外資系の生保は、テレビ広告や新聞広告に経費を使っています。どちらの経費が安いのかは、どちらが割安の保険商品を提供しているのかで判断できます。同じ内容の保険であれば、経費が少ない方が、割安の保険商品を作ることができるからです。
生命保険会社は、安定した経営をしていかなければいけないので、3つの要素については、多少多めに見積もっています。ですので、必ず見積と実際との差がでてきます。それが、三利源というものです。
■ 三利源とは?
三利源とは、
(1)想定した死亡率と実際の死亡率の差である「死差(損)益」
(2)想定した運用利率と実際の運用利率の差である「利差(損)益」
(3)想定した事業費率と実際の事業費率の差である「費差(損)益」
となります。
以前は株式市場の低迷により、予定利率より実際の運用利回りが下回り利差損の金額が膨大になり、保険会社の経営は悪化しました。逆ざやによる利差損を、費差益や死差益で穴埋めしていました。しかし、最近は、株式市場が活性化してきており、利差損(逆ざや)については、ほとんど問題にされなくなりました。運用でうまくいった分については、配当という形で、契約者に還元されてきています。
また、合併などの業界再編で、事業費率も下がってきていると言われています。今後も努力して欲しいものですね。
■ 加入時のポイント
割安の商品を大々的に宣伝し、あたかもその会社の商品の扱う全ての商品が割安だという印象を与える広告もされていますが、これは一般の商品と同じですね。自分の興味のある商品が果たして本当に割安なのか、納得するまで確認しましょう。
ポイントは、同じ保障内容の保険についていろいろな会社の保険と比較することです。
同じ内容の保険であれば、予定死亡率は違いが出にくいので、保険料の違いは運用の腕と事業費の大小から生じると考えて良さそうです。
■ 今後
今後、保険の加入・見直しを考えた時に、その会社の三利源をチェックしてみてください。HPに載るはずですし、営業マンであれば聞けば教えてくれるはずです。その時のポイントは、他の会社と比較してみることです。こういう数字は一社だけ見てもなかなか判断できません。納得いくまで比較してみてください。
来年の3月は、各社とも今年度の三利源のみの公開になると思われます。筆者は、過去の三利源の公開もしてくれれば、過去との比較などができ、もっともっと役にたつと思います。来年以降に期待しましょう。
ファイナンシャルプランナー 小山 武仁