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人気の外貨建て保険、
円建てとはココが違う
最近、預金だけでなく「保険」業界でも外貨建て商品が人気です。予定利率の高さがその秘密のようですが、落とし穴もあるのでしっかりリスクを理解しておきましょう。
■ なぜドル建て保険なのか?
最近、外貨建て預金が流行しつつあります。それと同じように保険でも外貨建ての保険が増え始めています。
外資系をはじめ多くの保険会社で、外貨建て(ドル建て、ユーロ建て、中には豪ドル建ても)の保険商品が増えております。日本で生活していて、何かあったら「円」で保障が欲しい人が多いはずなのに、なぜ外貨建ての保険商品が次々と発売されているのでしょうか?
それには、今の日本の「予定利率」の低さが1番の理由と思われます。例えば、10年以上前の養老保険などは、払った総保険料の2倍近くの満期保険金がもらえるものがほとんどでした。しかし、最近の養老保険は、払った総保険料にも満たない養老保険(つまり元本割れ)がほとんどです。その理由としましては、1993年以前までは予定利率は5.5%のものが主流であり、最近は1.5%〜2%のものが主流となっております。
予定利率が低いということは、それだけ「お金が殖えない」ことを意味しています。
一方で、外貨建て保険の予定利率は、保険種類にもよりますが3.5%〜5.5%程度あります。よって、ドル建て養老保険では、昔の日本にもあったように、総支払い保険料の2倍程度の満期保険金がもらえる(ただしドルベースで)養老保険も存在します。
■ 予定利率はどのように決まるのか?
それでは、生命保険料を決定する要素の1つである、予定利率はどのように決まるのでしょうか?それは、日本国債の利回りに左右されます。通常の保険の運用(一般勘定)は、公社債を中心に運用されています。そのため、日本国債の利回りが高かった93年以前では予定利率も非常に高いものでした。しかし、最近の日本国債の利回りは、10年ものでは2%以下で推移しております。よって、日本の生命保険の予定利率は非常に低く、トクに貯蓄性の高い保険、終身保険や養老保険や個人年金、そして学資保険などは、支払う総保険料に対して戻ってくる満期保険や死亡保険金が少なくなっています。
一方で、外国の債券はどうなっているのかといいますと、例えばアメリカの10年国債などは4〜6%ぐらいで推移しております。よって、ドル建て保険の予定利率も4%前後となっております。
■ 実際に保険料や満期保険金はどうなっているのか?
ここで、一時払い個人年金の保険料や満期保険金を調べてみましょう。例えば、A生命の「ドル建て個人年金」と、B生命の「一時払い個人年金」の支払保険料と、もらえる保険金は次の通りです。
【51歳男性の場合】
○ ドル建て個人年金
一時払い保険料 100万円(ドル換算で87,024ドル) (表面利率4.57% 1ドル=114.91円)
10年後の満期保険金 127,627ドル(年間25,600ドルを5年間)
満期時の為替が損得なし(1ドル=114.91円)だった場合の円換算額は、約146万円。返戻率は146%です。
○ 一時払い個人年金
一時払い保険料 945,260円 (予定利率1.85%)
10年後の年金支給額 年間20万円を5年間。総額100万円。返戻率は、105.8%です。
このように、ドル建てと円建ての一時払い個人年金を比較すると、ドル建てのほうが有利に感じます。これは、一時払い終身保険や一時払い養老保険もだいたい同じ傾向にあります。
■ ドル建て一時払い保険の注意点
前述のように、予定利率の大きな違いからドル建て保険の方が魅力があるのでは?と思われるかもしれません。しかし注意点があります。円建ての場合は、貯蓄性は乏しいものの、円ベースでは確実に元本は保証されます。しかしドル建ての場合は、大きく円高になってしまうと元本割れの恐れがあります。
上記事例でいいますと、満期時の10年後に1ドル=78.35円より円高になってしまうと元本割れしてしまいます。ちなみに、過去に1ドルが78.35円を切ったことはありません。しかし、絶対に78.35円くらい円高にならないという保障もありません。
逆に、大きく円安になった場合。例えば、満期時に1ドル150円になったとしましょう。その場合、約190万円の満期保険金が受け取れます。このように、満期時の保険金額はそのときの為替に大きく左右されます。
それともう1つは、為替手数料。保険種類や保険会社によっては、為替手数料が無料の場合もありますが、これも加入時にしっかりと確認しましょう。上記事例では、1ドル=114.91円としてありますが、その日の実勢レートは114.31円。つまり、0.6円の為替手数料がかかっています。また、満期時のレート114.91円と書いてありますが、これは実勢レートが115.51円である場合です。
外貨建ての保険商品を選ぶポイントとしては、
1.為替手数料
2.表面利率にとらわれず実質利回りを確認する
3.損益分岐点を把握しておく
4.投資先の国の経済状況を把握しておく
これらを事前に確認することで、一時払い外貨建て保険の落とし穴は回避することが出来ます。
■ まとめ
ドル建ての保険は、商品内容を十分に検討すれば、確かに有利な保険商品といえるでしょう。そもそも、何のためにその保険に入るのか?保障目的なのか、資産形成目的なのか?資産形成の場合は、ポートフォリオの分散効果は働いているか?などリスクをしっかりと把握することが大切です。
株式会社 住まいと保険と資産管理
ファイナンシャルプランナー 山中 崇寛