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止まらない少子化、
子育て支援金はムダなのか
先日、2005年の出生率が発表され、過去最低記録を更新しました。自治体からでる子育て支援金を、将来かかるであろう教育費として貯めておくことも検討してみてはいかがでしょう。
■ 少子化はなぜ止まらないのか?
6月1日に、2005年の出生率(女性1人が15歳〜49歳までに産む子どもの数の平均)が1・25と過去最低であることが発表され、マスコミが騒いでいます。少子化が進むと、年金や介護保険などの社会保障システムの維持が難しくなり、消費が伸びずに経済が沈滞するなどと問題視されているのです。少子化の背景には、晩婚化・非婚化、子育てと仕事の両立の困難などがあるとされ、政府は男性の育児休業の普及や保育所の待機児童ゼロ作戦などの政策を推進してきましたが、少子化に歯止めはかかりません。
なぜ、子どもの数が少なくなったのか考えると、個人の価値観として結婚しない、子どもをもたないという人たちが増えた他に、経済的な理由もあるのではないでしょうか。
経済的な理由には、不安定な雇用状況と教育費の高騰が挙げられます。
平成17年の大卒者の就職率は59・7%です(文部科学省「学校基本調査」)。大卒者10人のうち6人しか就職できていないという現実があります。終身雇用が崩壊して正社員のリストラが進み、パートや派遣など非正社員の割合は34・6%を占めています(厚生労働省・平成15年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」)。非正社員の賃金水準は正社員の60%程度(男性)なので、結婚や子どもをもつことをためらうのは容易に想像できます。
また、正社員として就職しても、高校や大学まで進学させる教育費を考えると、子どもは1人か2人と考えるのもムリのないことではないでしょうか。
文部科学省「子どもの学習費調査」によれば、幼稚園は年間約24万円、小学校は約30万円、中学・高校は約50万円(すべて公立の場合)の学費がかかります。私立大学に進学すると、平均で年間約120万円(日本学生支援機構「学生生活調査」)の学費がかかります。積算すると、小学校から高校まで公立で480万円、大学が私立だと480万円、合計960万円。子ども1人の教育費が約1000万円ということになります。
小学校では学費の負担は月2万5000円程度ですが、中学に進学して高校を卒業するまでの6年間は、毎月約4万円払い続けることになります。子どもが2人いて在学時期が重なれば月8万円になります。家賃や住宅ローンを払いながら学費を払い、大学や専門学校まで進学させようと思えば、さらに教育費を積み立てておかなければなりません。
右肩上がりの昇給が見込めず、リストラのリスクもあるのに、国から“産めよ殖やせよ”と言われても、子どもを何人ももつ気になれないのは当然ではないでしょうか。
■ 子育て支援費用はムダ?
少子化対策として児童手当などさまざまな子育て支援策が実施されていますが、少子化が止まらないことから「効果がないのに、いつまでも支出するのはいかがなものか。財源には限りがある」という意見を述べた国会議員がいました。
子育て支援の費用については、さまざまな考え方があります。子どもをもたない人は控除も少なく税金を多く払っているのに、さらに子どもをもつ人だけに税金でさまざまな支援策を行なうのは不公平だという意見。逆に年金など現在の社会保障システムから見れば、子どもをもたない人は自分は子どもを育てずに、他人が育てた子どもが負担する年金をもらうことになるというフリーライダー論など、いろいろです。
しかし、高齢者が人間らしく生活し、介護する家族の負担が軽くなることを目指して介護保険ができたように、子育て支援策も、生まれてきた子どもが健やかに育つように、そして子育てしている人の負担が軽くなるように、福祉政策として税金が使われてもおかしくはないのではないでしょうか。児童手当が月5000円出るからと出産に踏み切る人はいないでしょうが、月5000円を子どもが生まれた時から受給が終わる小学校6年まで積み立てておけば72万円前後になり、学資の足しとなって子どもが進学を諦めずにすむかもしれません。
■ 出産すると30万円の一時金、月5000円の児童手当などが
子育て支援として支給されるお金には、以下のものがあります。
・ 出産育児一時金 健康保険から子ども1人につき30万円。
・ 出産手当金 妊娠・出産で仕事を休んでいる場合、健康保険から日給の60%×98日分。
・ 児童手当 子ども1人に月5000円。第3子からは月1万円。12歳時の3月末まで支給。
このほか、育児休業している人には雇用保険から育児休業給付金などが支給されます。
■ 買い物優待券や第3子を出産すると50万円支給など自治体独自の支援策も
国の支援策とは別に、独自の支援策を実施している自治体もあります。
・ 東京都新宿区「新宿区児童手当」 国の児童手当支給が終わる12歳時の3月末から15歳時の3月末まで月5000円を支給。
・ 静岡県島田市「子育て支援金」 第3子に30万円、第4子に40万円など、島田市内で使える「島田市金券」を支給。
・ 静岡県「しずおか子育て優待カード」 買い物に子どもを同伴し、カードを加盟店で提示すると特典が受けられます(5%引き、10%引き、サービス券2倍など)。
・ 山梨県大月市「出産育児支援手当」 第3子から50万円支給。「就学支援手当」 第3子から小学校入学時30万円、中学校入学時20万円支給。
・ 愛知県名古屋市「子育て支援手当」 第3子以降3歳まで月2万円支給。
■ 子育て支援金の使い方、教育資金の作り方
子育て支援金が税金から出されていることを考えれば、生活費の足しに使ってしまうのではなく、積み立てておいて、子どもが病気になった時や進学時などに有効に使うことが望ましいでしょう。もちろん、児童手当などの積立だけで教育資金は充分ではありません。子どもの教育費がかかるのは中学校からです。食費や衣服費も増え、学費も跳ね上がります。子どもが小学校のうちが貯め時と言えます。子どもが生まれた時から月1万円を積み立てれば12歳までに144万円貯められ、児童手当の積立を加算すれば216万円程度になります。高校進学率、大学や専門学校への進学率が高率であることを考えれば、親として最低でもこの程度の教育資金は準備しておいたほうがいいのではないでしょうか。
フリーライター 関口章子