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敷金礼金ゼロの物件、
借りる時はここに注意


最近、賃貸住宅物件の広告で見る「敷金礼金ゼロ」の文字。借りる側にとっては、非常に魅力的な言葉ですが、飛びつくのはちょっと待って!実は裏にいろいろな事情があるようですよ。






■ 敷金礼金ってなんで必要なの?
 日本では賃貸住宅物件を契約する際、月々の定められた賃料の数ヶ月分の敷金礼金を支払いうことが一般的になっていますよね。地域によってその割合はいろいろあるようですが、世界の中ではこのようなシステムは大変めずらしいみたいです。では、敷金礼金はなんのために存在するのでしょうか?まず敷金礼金の意味についておさらいしてみましょう。

 敷金とは契約違反のときに備えて、借り主が貸し主に預けておくお金のこと。「故意に部屋を傷つけない」「ペット不可」など契約書にある条件を違反した場合はもちろん、家賃を滞納した場合などには敷金が使われます。
 礼金とは、もともと戦後の住宅難の時代、大家さんに部屋を貸してくれたことへの感謝の気持ちとして渡していたお金が慣習化されたもの。現在では「2年契約の賃料の一部前払いによる毎月の家賃の割引」として存在意義があるようです。物件過多状態の昨今、できるだけ長期間契約していてほしい大家さんとしては、礼金をゼロにするよりも、むしろ家賃を値下げしたほうが、安心して物件を貸せるのです。
 つまり、敷金礼金は貸し主の利益を守るためにあるもの。これがゼロということになれば、当然のことながら貸し主にとっては大きな痛手であり、リスクも高くなります。

■ 敷金礼金ゼロの物件は、ここに注意!
 「敷金礼金ゼロ」は借り手だけがトクをするありがたーい物件なのでしょうか? 残念ながら、不動産業は商売ですから、自分たちがソンをしないように、しっかり予防線がはられていることが多いようです。それどころか、「敷金礼金ゼロ」というキャッチーな言葉で消費者を引きつけて賃貸契約を結び、不当な利益を得ようとする悪質な業者もいるとか。トラブルに巻き込まれないように、「敷金礼金ゼロ」の物件を見るときは以下の点をチェックするようにしましょう。

(1) 物件の条件が粗悪でないか?
なんらかの理由でなかなか借り手がつかない物件である可能性があります。ぱっと見るだけではわからないこともありますから、特に注意深くチェックしましょう。広告に惑わされることのないように。

(2) 家賃が相場よりも高くないか?
例えば礼金1か月分&敷金2か月分で家賃が9万円の物件と、敷金礼金ゼロで家賃が10万円の物件を比べてみましょう。初期費用は前者で9万×(礼金1+敷金2+前家賃1)=36万円、後者で10万×(前家賃1)=10万円。つまり前者のほうが26万円も安くつきますが、月々の支払いが1万円ずつ違うわけですから、単純計算でいくと27か月後には負担総額は逆転します(更新料、仲介料、保険料などは計算に含みません)。自分がどのくらいの期間そこに住むかを考えて、総支出額を前もって計算してみておいたほうが賢明です。

(3) 敷金礼金のかわりになるようなものが、別に設定されていないか?
敷金礼金はゼロでも、保証金、年会費、権利金などというものが前払い金に含まれている場合は要注意。中途解約の場合にも返金されないというケースが国民生活センターや東京都消費生活総合センターに数多く報告されているそう。短期滞在型マンションでよく使われているシステムですが、業者によっては解約時の精算方法が必要以上に複雑にされているようなので、契約時によく確認しておくことが必要でしょう。もちろん、契約書にも細かく目を通しておいて。

(4) 退去後のリフォーム代は、どのように請求されるか?
リフォーム代にあてられるはずの敷金がないのですから、入居前にどのような形で代金が支払われるかをしっかり確認しておいて。そうでなければ、法外なリフォーム代金が請求されてしまう可能性も!貸し主と話し合った上、内容について、きちんと書面に残しておくことが大事。仲介者のない、家主との直接契約であったとしても、契約書は必ず作成しましょう。

■「東京ルール」で敷金礼金の慣習も変わる?
 もちろん、敷礼ゼロでも優良な物件もあります。行政側としても、トラブルの元となることの多い敷金礼金などを排除した契約を普及させて、円滑な住み替えを促進しようとしているようです。特に昨年10月に施行された「賃貸住宅紛争防止条例」は不動産業界に大きな衝撃を与えました。通称「東京ルール」と呼ばれるこの条例では、「退去時の通常磨耗などの復旧は基本的に貸主が行う」「入居期間中であっても生活に必要な修繕であれば貸主が行う」と明記。その結果、リフォーム代のほとんどは貸主の責任となり、敷金の存在意義が薄くなってきたのです。これからは、敷金礼金がなくなっていく傾向になるかもしれません。そうはいうものの、いまはまだまだ過渡期。トラブルに巻き込まれないように、細心の注意を払うことが大切ですよ!

斎木佳央里