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先週に引き続き、TOPIXについてのご紹介です。TOPIXの算定方法が大きく変わることによりかなりの混乱が予想されますが、事前に投資家としての対応策を考えておきましょう。
前回のコラム
「株式のキホン!TOPIXってナニ?」
においてTOPIXの現在について簡単にご説明しましたが、今回は引き続き、TOPIXの算定方法が変わった場合の影響や対応策についてです。
前述のとおり、TOPIXを「浮動株」をベースにした算定方法に変更することで、現状の問題点である需要のゆがみを改善しようとしていますが、TOPIXに連動する運用をしている投資信託などは、当然この「浮動株」をベースとした新たなTOPIXに今後は連動させる必要があります。すると、次のようなことが起こります。
TOPIX連動型投資信託を通じて株式市場に投入されている資金につき、全体でみれば流入、流出はありませんが、浮動株の少ない銘柄は一時的にTOPIX連動型投資信託などからの売り需要が発生し、逆に浮動株の多い銘柄は買い需要が発生することになります。
例を挙げて説明します。TOPIXの構成銘柄が銘柄A、B、Cの3銘柄のみとし、3社とも発行済み株式数は100株、株価100円とします。この場合、3社の時価総額はそれぞれ10000円、市場全体の時価総額は30,000円となります。TOPIX連動型投資信託が300の資金を3銘柄に振り分けるとすると、3銘柄とも100ずつの振り分けになります。
ここで、TOPIXを浮動株ベースに移行することとし、3銘柄の浮動株の割合を算定してみると、Aは20%、Bは50%、Cは80%であったとします。市場全体の浮動株の割合は50%となり、市場全体の時価総額は15000円となります。そして、Aの時価総額は2000円、B、Cはそれぞれ5000円、8000円となります。
このとき、TOPIX連動型投資信託は、300の資金をどのように配分するかといえば、Aには40、Bには100、Cには160という具合になるのです。
浮動株ベースに移行する前は3銘柄とも100でしたから、浮動株ベースへの移行により、Aは60の売り需要が発生し、Cは逆に60の買い需要が発生することになることがお分かりかと思います。
そこで気になるのが各銘柄ごとの浮動株比率です。東証の発表資料によれば、東証1部全体の浮動株比率は0.6、つまり60%となっています。よって、個別銘柄の浮動株比率が0.6より高ければTOPIX連動型投資信託などの買い需要が、逆に0.6より低ければ売り需要が発生するのです。
浮動株比率が低い銘柄として真っ先に思いつくのは、ヤフー、NTTドコモ、セブンイレブン、日産自動車などのように、ある企業の子会社となっていたり、特定の企業が多数の株式を保有しているような銘柄です。ある企業の子会社になっていれば、親会社が保有する株式だけで50%以上となりますから、この時点ですでに浮動株比率が0.5を上回ることがないといえます。
逆に浮動株比率が高い銘柄としては大手銀行などが挙げられます。
各個別銘柄ごとの浮動株比率は、東証のホームページにて資料が公開されていますのでそちらをご覧ください。
さて、以上のことを踏まえて、TOPIXの浮動株指数への移行につき、投資家としてどのように対応していけば良いかを考えてみましょう。
間違いないのは、TOPIX連動型投資信託などから、浮動株比率の低い銘柄への売り需要および高い銘柄への買い需要が発生するということです。また、買い需要が発生する銘柄より、売り需要が発生する銘柄の方が需給面に与えるインパクトが大きいようです。
そこで、買い需要が見込まれる銘柄を先回り買いしておくのも一つの戦法かと思いますが、それより需要なのは、売り需要が見込まれる銘柄への投資を考える場合は、そのタイミングに十分に注意するということでしょう。
例えば、NTTドコモはNTTの子会社ですから、浮動株比率はかなり低い数値になっています。ここ最近の株価の動きが軟調であるのは、将来の売り需要を見越して、大口の投資家などから売り仕掛けがなされているためであるとも言われています。また、ソフトバンクの子会社であるヤフーも株価が軟調ですが、同様の原因からとみられています。
東証は、浮動株指数への移行による個別銘柄の株価の乱高下を避けるため、平成17年10月末、平成18年2月末、平成18年6月末の3回に分けて、3分の1ずつ浮動株比率を反映させていくことになっています。しかし、これでも個別銘柄ごとの買い需要や売り需要が完全に平準化されるわけではありません。
そこで、浮動株比率の低い銘柄に投資しようとする場合は、平成18年6月末までは特殊な売り需要が発生することと、それに乗じた先回り売りが発生する可能性があるということを念頭において投資をされることをお勧めします。
TOPIXの浮動株指数の導入には、かなりの混乱も予想されます。しかしながら、裏を返してみれば、特殊な売り需要のために、業績とは関係なく株価の頭を押さえられてしまう銘柄も多く出てくるということです。ですから、業績の良い銘柄に安い価格で投資できるチャンスということも出来るわけです。
まずは気になる銘柄、すでに保有している銘柄の浮動株比率を調べた上で、今後の投資戦略を立ててみてはいかがでしょう。
加藤武夫