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2006年の商法改正は株主の味方?
来年施行予定の商法改正。かなり大規模の改正となりますが、それによって投資家も恩恵をうけることができるかも。改正の主なポイントをご紹介します。今後の投資先検討に役立ててみては?
2006年に、商法の一部や有限会社法などといった、会社制度に関する法律を統合して、新しく「会社法」という法律が施行されることになっています。これは今までの会社制度を大きく変えるほどの大改正となります。この中には、投資家、株主に対しても良い意味で影響を及ぼすと考えられるものもいくつかあります。
最も大きな影響を与えるものとして、合併時に消滅する会社の株主に渡す対価の範囲を広げるというものがあります。現状では原則として存続する会社の株式に限られていますが、これに加えて現金、債券、不動産、そして外国株式も認められることになります。よって、外国企業はいままで日本企業を買収するには現金が必要だったのが、子会社の日本法人を買収のターゲット企業と買収させ、その対価として親会社の外国企業株式をターゲット企業の株主に割り当てるという「三角合併」の手法が使えるようになります。つまり、外国企業は日本企業の買収のために多額の現金を準備しなくとも、自社株式を使って買収できることになるのです。
合併の対価の範囲拡大については、会社法施行から1年後、つまり2007年からの実施となる予定です。これは、ライブドアによるニッポン放送買収劇により、企業の敵対的買収に対する防衛策がまだ不十分であるとの認識がなされたためです。実は、この防衛策を企業が講じる過程で、株主にとってプラスの効果が期待できるのです。
防衛策の基本は、自社の株価を高めるということです。買収を仕掛けられるということは、本来のその企業の価値より低い株価に放置されているということの現われですから、本来の価値にまで株価を高めることができれば、買収から企業を守ることができるのです。
敵対的買収の防衛策の中で最もポピュラーなものは、配当を増やすということです。外資系投資ファンドであるスティール・パートナーズのTOBによる買収を仕掛けられたユシロ化学は、これに対抗して年間の配当金を当初予定の19円から200円へと大幅に増やすことを決定しました。これにより株価は大きく上昇、TOB価格を大きく上回り、TOBは成立しませんでした。また、買収騒動の渦中にあったフジテレビも、配当金を当初予定の1,200円から5,000円に増額することを発表し、株価は上昇しました。
また、自社株買いを積極的に進めるという方策も防衛策として有効となります。自社株買いにより1株当たり利益や1株当たり純資産などの数値が高まり、株価の上昇要因となるからです。
買収のターゲットとなりやすい企業の条件として、キャッシュ・リッチであること、大きな成長は見込めないものの安定した業績を上げていること、保有資産の含み損益を加味した実質的な1株当たり純資産より株価が安く放置されていることなどが挙げられます。このような企業は敵対的買収からの防衛策を講じる可能性が特に高いといえます。よって、こうした企業が防衛策を講じる前に、その企業に投資しておけば、株価上昇という恩恵を受けることができるかも知れないのです。そして、こうした企業はすでに株価が上昇し始めているのです。
ただし、防衛策のなかで、既存株主に必ずしもプラスにならないものもあるため、注意が必要です。例えば、「クラウン・ジュエル」という防衛策は、企業にとって重要である資産を外部に売却することで、敵対的買収をしようとしている企業に、自分の企業の魅力を失わせるという戦略です。先日ニッポン放送が保有するフジテレビ株やポニーキャニオン株を外部に売却することが検討されましたが、仮にこれが実行されるとすると、企業の収益源が失われるなど、企業経営にとってはマイナスとなってしまいます。株価にも少なからずマイナスの影響が出る可能性が高いといえるでしょう。
これ以外には、配当金の規制が緩和されるというものがあります。現状は、期末配当の他に中間配当が認められているものの、年に2回までしか配当が出来ません。これが、原則としていつでも配当を出すことができるようになるのです。ですから、配当金を毎月出すこともできるのです。グローバル・ソブリン・オープンのように毎月分配型の投資信託が人気を博していますが、毎月配当行う企業が現れれば、おそらく大人気となり株価の上昇も見込めるでしょう。新しい物好きの企業をピックアップしておいて事前に投資しておくのも面白いかもしれません。
商法改正を前に企業はさまざまな対策をたてることになることでしょう。買収防衛策等を講じるであろうと思われる企業への先回りの投資などにより、株主としての恩恵を受けるチャンスはあるのかもしれません。
加藤武夫