2000.11.27
トラッキングストック

 2000.11.20
下値模索の株式市場

 2000.11.13
小型株投資の留意点(定性評価)

 2000.10.30
本格化する決算発表

 2000.10.23
活発な発行市場に低調な流通市場

 2000.10.16

 2000.10. 2
日本のIT普及のあり方

 2000. 9.26
良好な企業業績とリスク要因

 2000. 7. 3
グループ経営のあり方‐その1‐

 2000. 6.26
割安株を考える

 2000. 6.19
割安銘柄への投資

 2000. 6.12
攻めの経営への転換点

 2000. 5.29
地価下落は株式市場にとって致命的か?

 2000. 5.22
ポートフォリオ構築のアプローチ

 2000. 5.15
荒れるマーケットで

 2000. 5. 8
3月期決算発表が本格化へ














ハイテク景気の行方






□ 荒れ模様の株式市場
 10月に入ってからも日本の株式マーケットは荒れ模様が続いています。先月までは決算期末を意識した持合い解消売りによる需給悪化を悪者にすることで株式下落が説明されてきましたが、結局10月に入って持合い解消売りが一段落した中でも株式の下落傾向は続いているようです。現在最も懸念されているのが、米国株式の動向で、特にナスダック指数は今年の3月につけた5048.62ポイントから35%程度調整した水準にあります(13日現在)。今月に入ってからインテル、アップルなどの主要テクノロジー企業が業績下方修正見通しを発表し、株価が大きく下落しているためです。では今後このテクノロジー株の動向はどのように推移するのでしょうか?最近の同セクターのアナリストの見方も強気、弱気が混在しており、投資判断が難しい局面です。

□ 3つの牽引役の変調(1)(携帯電話)
  そもそも今回の米国ハイテク株の調整は、これまで半導体需要を牽引してきた携帯電話、PC、ネットワーク機器の需要動向に変化が生じたためです。このうち携帯電話の変調が6月頃で最も早くから需要見通しが下方修正されました。この要因はそもそもセルラー端末の需要を楽観的に見過ぎていたためで、携帯電話の加入者の伸びなど足許の成長トレンドを将来にそのまま当てはめたことや、買い替えのサイクルを短期に想定したためと見られています。当時メーカーは今年の全世界のセルラー端末需要は7億台近くになると見込んでいましたが、結局4億台にも満たない公算が高まっています。

□ 3つの牽引役の変調(2)(パソコン需要)
  続く要因としては9月頃より生じたPC業界の在庫調整があげられます。このPCの在庫調整は実は8月頃から進行していたのですが、この時はまだ株式マーケットの受け止め方はネガティブに傾いておらず、米インテルの下方修正で一気に先行き不安が広がりました。特にユーロ安の影響で欧州のPC需要が後退しています。この結果、半導体の需給緩和時期について従来の2001年度に入ってからといった見方ではなく、今年中に始まるといった見方がマーケットに出てきました。この頃から日本の半導体関連株(特に半導体製造装置株)とナスダック指数の連動性は高まっています(特に下落局面において)。

□ 3つの牽引役の変調(3)(ネットワーク機器)
  3番目のネットワーク機器需要について現在まで目立って需要が減退しているという証拠はないのですが、米国金利の上昇による投資採算の悪化からテレコムキャリア株の設備投資動向の先行き不透明感が広がっている中では需要減退の時期が早まったとする見方が優勢のようです。

□ 今後は半導体セクターの見方で分かれる
  続いて今後の見通しについてですが、半導体の需要見通しをどう見るかで強気サイド、弱気サイドに分かれるようです。

□ 新規需要を重視、サイクル通りにはならない
  まず強気の見方は、現在の株価調整はモメンタムで売られていて、ファンダメンタルズは依然良好にあるとするものです。そこでは必ずしもシリコンサイクル通りに株価は推移しないとしています。この要因として前回のピークの95年度はDRAMのウエイトが半導体企業の収益の大部分を占めていたのですが、今回の需要拡大期ではDRAMに替わってフラッシュメモリーやシステムLSIの比率が高まり、DRAMの比率が30%程度まで低下しているためと指摘しています。また新規に需要を押し上げるものとしてデジタル家電の影響を重視する向きもいます(このデジタル家電についてはいずれコラムで取り上げたいと思っています)。

□ 結局はサイクル
  弱気の見方については、DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の需給ギャップの拡大を重視しています。2000年前半にかけて半導体の需要が強かったことからセットメーカーが在庫の積み増しを急いだ結果、実需とのギャップが生じ、価格下落を伴って来年から生産調整に入るとする見方をとっています。結局このセクターはサイクルに左右され、収益変動がドラスティックに起きる状態から逃れられないと主張しています。

□ 独自の動きへ?
  筆者は既に調整した現行水準からは今後の先行きをネガティブには見ていませんが、どちらの見解にも与したい部分があるのも確かで、ファンドマネージャーとしてポートフォリオを考える時に頭を悩ましている問題の一つです。 ただ、日本と米国のマクロ景気、およびIT投資のサイクルにはズレとが生じていることから、現在高まっている日米のハイテク株の連動性が今後薄れていくことによって独自の動きになっていくのではないかと考えています。


永尾完治